2014/04/28


数年前に付き合っていた男と久しぶりに会いました。
ただ酒飲んだだけですけど。

「おまえは、俺とのセックスで一晩で17回イッたこともあったよなあ。」

男が昔懐かしげに言いました。



・・・


え?


そうだっけ?


ごめん、おぼえてない・・・


っていうか、ホント男ってこういうことを自分の勲章のようにしつこく覚えてるよなあ。
正直、こちらとしてはその時は気持ちよかったなあ、ってそこで終わる話なんですけどね・・・。


「ごめん、そんなこともあったっけ?」

「え!?なに、おまえ、忘れちゃったの?!
 あれだけ俺が会う度にお前の欲求に尽くしてやったのに・・・!?」


いや、だってもう過ぎた話だし
男としては「いっぱいイかしてやった」みたいのが自分の自信とか勲章になるのかもしれないけど、
女としては別にソレ覚えてたところで誰に自慢するもんでもないしさ・・。
結局、過ぎれば終わる話なんだよね。


「大体さ、イッた、って言ったって、嘘ってゆーか演技の場合もあるしね、女の場合はさ。
 多分私、そのとき実際には17回もイッてないと思うよ。」

「ハ!?」

「大体、二割くらいの確率で嘘だから、私の場合は。他の人は知らないけど。」

「・・・!!」

「だいたいさ、イクのだって体力使うんだよ。
 気持ちもあるけどさ、何回もイクのに必要なのは体力なんだよね。
 いくら私だってそんだけやれば二回や三回はイクふりくらいしてるよ。
 それに17回のうち、もし3回イクふりをしてたとしても14回は本当にイッてるわけだよ、
 それだってすごいじゃん。」



「・・・いや、フリをしているようには見えなかった!」



「・・・まあ、信じたくない気持ちはわかるけどさ。
 イクふりは私の場合、特別なことではなく
 朝ご飯に納豆を食べるのと同じくらい自然で当たり前のことなので、
 多分あなたと付き合ってた数年間で何百回とイクふりはしてると思うよ。」


「・・・っていうか、なんでイクふりとかするわけ?
 気持ちよく無いなら気持ちよく無いって言えばいいじゃないか。」


「いや、気持ちいいんだよ。
 だけど、体力とか気力の関係で頂点までいける時といけない時があるんだよね。
 ちょっとの差なの。だからイクふりしてもいいかなと思うわけで。
 だいたいさ、男も女がイッたかどうかで興奮するかしないか決まる部分もあるじゃん。
 女がイク瞬間って嬉しいし興奮するでしょ。
 だから、演技してあげてもいいかなって思うんだよね。善意の嘘だよ。
 それで二人の営みが気持ちよく形作られるわけだよ。
 『サンタクロースはいるんだよ。』って親が子につく嘘と同じようなもんだって。」


「・・・たしかにおまえは、イッてるわりには顔がしらけてることがあったな。」


「え?いや、しらけてるようだったなら多分それはホントにイッてるよ。
 それは素の私だから。どっちかってゆーと、
 いかにもみたいな感じですっごい感じてるふうでイッてる時の方が演技の確率が高いね。
 だけどさ、ヘタなAVみたいないかにもな演技じゃないよ。
 こちとら女歴長いからね、自分がイク時どうゆう感じかもわかってるしさ。
 単にその再現だし。超ナチュラルな演技だよ。
 自分でもイッてるって勘違いしちゃうくらいのね。ハハ!

で、勘違いしてホントにそれでイッちゃうこともあるしね。
なんなんでしょうね、いったいコレ。
もう嘘とかホントとかどうでもいいっていうか。


「・・・だけどさ、こういうのもあれだけど、
 俺も今までお前も含めて少なく無い数の女とやってるわけだけど、
 一度もこいつ演技してんな、って思ったことないんだよね・・・。」


「ああ、まあ、そうだろうね。実際、私が演技してんのもわかんなかったわけだし。
 試しに今度別の女に聞いてみなよ。イッたふりしたことある?って。
 あ、でも、自分とヤッたことがある女に聞いちゃダメだよ!
 九割五分で「無い」って言うに決まってるから。
 あとさ、関係あるかわかんないけど、よく
 『男は嘘をつくとき相手から目を逸らすけど、女は相手をじっと見つめて嘘をつく』
 っていうじゃん。
   女の嘘の付き方が巧妙ってことじゃなくてさ、
   男は女の嘘の付き方を実感として、生理的にわからないんじゃないかと思うんだよね。
   だから、女の嘘は見破れないと思うんだよ。」

あと、こういっちゃなんだけど、
女は嘘とホントが時に一緒になっちゃう感じがするんだよね。
嘘なんだけど、それを口にしてる時はホントの気がしちゃってたりとかさ。
私だけかもしれないけど、嘘はホントなんだよ。刹那的にね。



「フェラチオ嫌いなお前にフェラチオ徹底的にしこんでやったのはこの俺だぞ?」

「ハハ!私と付き合った男はみんなそう思ってるよ。」

「・・・!!」

だから、善意の演出なんですってば。
二人の時間を楽しむためのさ。

「別に嘘だっていいじゃん。お互い気持ちよかったんだから。」

もし男が、女をイカせることで支配欲を満たしていて、
それが男の自尊心に大きく関わり根本的にセックスをする目的だったとしても、
それは女にはどうでもいいこと。

もし女が、自分の自己愛を満たすために男に甘え、
愛という名の奉仕を期待していたとしても、
それは実のところきっと男には理解できない。

男も女も、きっとそれぞれ自分勝手な愛を追っかけている。
「愛」という言葉で、しらず無意識に何かを曖昧にしながら。

そうやって、きっとどこかに少しでも嘘がなければ、共有できないものもある。



「言っとくけど俺は、昔からお前にも嘘は何も言っていないぞ。」

「うん、そうかもね。」


ホントに馬鹿みたいに正直だからね、この男。
正直に言われたこの男の言葉に、どれだけ当時傷つけられたかって話だよ。


「私は、嘘はつくけどね。」


自分には絶対、つかないけどね。