2019/04/13

Tarot XIII 死神


人間の身体の細胞は
大体7年で生まれ替わるとかいうけれど、

そんな風に
私が産まれてから死ぬまでの数十年の間にも、
小さな細胞の生き死にが
私の身体の中で繰り返されている。

その生き死にが繰り返されている間は、
私の身体は健やかなわけで、
その生き死にの変化が途絶えた時に、
私は死ぬわけで。




結局、変化し続けているものこそが、
安定しているのだと思う。

継続しているものの中には、
いつも小さな生き死にがあるのだと思う。






2019/03/26

Tarot II 女教皇



なんとなく「占い師」という職業が好きである。

なぜ好きなのかは今度ちゃんと書きたいので今回ははしょりますが、この度ありがたいことに、本職のタロット占い師の歩海さんにメヘンディのモデルを引き受けてもらうことができた。

タロット・カードをモチーフにしたメヘンディをやり始めてから、是非一度は本業の方にモデルをやっていただきたいと思っていたんですよね。タロットの具体的な解説などお話を聞かせて頂きたいという下心もありましたから。

「なんでタロットなんですか?」

と、歩海さんに、ありがたくも聞いて頂けた。

「いや、なんかうまく説明できるかわかんないんですけど、タロットカードのそれぞれのカードの意味って、例えば『正義』とか『崩壊』とか『欲望』とか『知性』とか、ちょっと抽象的な言葉が多いじゃないですか。私、例えば正義、って言われても、正義が何かって、実はよくわかんないんですよね。そういうよくわかんない言葉を、一度、自分の中で噛み砕いて考えてみたいなっていう、簡単に言えばそういうことなんですけど。」

「あー、たしかに、そういうのって、日常で使う言葉じゃないんですよね、『運命』とか『覚悟』とかもそうかも。」

「そうそう、そういう言葉って、なんとなくのイメージはあるんですけど実体験に即した生きてる言葉としては、実はあまり使ったことがない言葉なんですよね。
で、今回、歩海さんにモデルをお願いしたヌードメヘンディの女教皇なんですけど、意味的には『知性』とか『直感』ですよね?」

「うん、女教皇、そんな感じです。
あとは知識と知恵、内的女性性、内的神性の顕在、あとは、秘密とか……、神と人間を仲立つ者って感じですかね。」

占い師、というと、私の知る中ではちょっと壮絶な生い立ちを持っている人や、生まれた時から大きななにかを背負っている人など、ちょっとしんどい人生を歩んでいる人が多いのだが、この歩海さんはそれとはまたちょっと違う、いわゆる「幸せそうな占い師」である。
彼女は占い、というものに対して好奇心と探究心を持ち、無邪気さの垣間見える豊かな感受性と理論的で的確な言語表現を操り、占いというものを自らとても楽しんでいるように見える。
だからなのか、私の中では彼女は、他人の人生を背負う占い師、というよりかは、占いの探求者というか、研究者のプロ、というような印象が強い。

「女教皇の、『知性』とか『知識』って、具体的にどういうことなんですかね?まあ、教養があるとか色んなことを知ってる、って意味だとは思うんですが、なぜ、そういう要素を表現するのに、女教皇ってものが当てられてるのか、っていう…」

「女教皇の場合は、教典を遵守する神官なわけですから、知識っていうのは、主に教典の知識ってことですよね。あとは、神に仕えてるわけなので、結婚していない、処女なわけです。そういう、色んな意味で経験がない故の、あたまでっかちな知識、という側面も、女教皇にはあるんですよね。」

「あ、なるほど、それおもしろい。頭で得る知識と、体から得るって意味での体感とか経験との対比がそこにでてくるのって、なんか新鮮…!
……特に女性の場合って、体で、体感として知ることって多くないですか? 私、女性って、頭で物事を知ったり考えたり決めたりしてるっていうよりかは、体というか、子宮とかお腹の下の方で物事を判断したり決断したりしてる感じがするんですよね。だから、処女か非処女かって、私は結構、その違いって大きいと思うんですよ。もちろん、どちらがいいとか悪いとかいう意味ではなくてね。」

「頭で知ったことと、体で知ったことって、ちょっとまた質というか次元が違うんですよね。」

「ですよね。で、知識と体感の話で思い出したんですけど、ちょっと例えばの話なんですけどいいですか?
…たとえば、トルコって国のことを知識として、中近東の国で国土は日本の約二倍、大陸性気候で寒暖の差が激しく乾燥しており、国民の大半はイスラム教徒、昔から多くの民族が頻繁に往来した要衝の地であり複雑で重層的な混血と混住の歴史を繰り返してきたとか、まあそういう色々な情報を知ってるのと、そういう知識ゼロで直接トルコに行って街中の匂い嗅いで、港で牡蠣を食べて、客引きのトルコ人に追っかけられてうんざりしたりするのでは、どちらがいい悪いの問題ではなく、もー全然、得るものの質が違うんですよね。」

「あ、それちょっとわかります。」

「実際にその場所に行って、見て聞いて嗅いで触って、五感で知ったことって、その一瞬にして百のことがわかる、みたいな全能的な部分があるじゃないですか。五感の、体を通しての経験て、やはり凄く強いし大きいんですよ。
ただ、だからといって頭で得た知識に意味が無いってわけでは全く無くて、たとえば知識ゼロで実際にトルコに行って得られることが百だとしたら、十の知識を持ってトルコにいったら、多分、千や万の経験や体感になってかえってくるんですよね。知識って、体感を何倍もにすることができるんですよね。知識によって『知る』ことの効率が格段にアップするっていうか、知識と体感って常に相乗効果で影響しあってるってことに意味があるっていうかね。」

「体で知る、っていうのは、それだけだと動物と一緒なのかもしれないですねえ。」

「ああ、そうかも。知識とか知性っていうのは、人間的ですよね。人間としての成熟とも言えるかも。だけど、例えば経験や体感を知らずに知識に特化して価値をおくのがある意味での女教皇だとしたら、私は一種の倒錯のようなものをそこに感じて、妙な色気を感じます。笑  ……倒錯的な不健康な色気を。笑
五感を経た経験ってもちろん色んな意味があるわけだけど、『処女の知性、知識』って言葉だけで、なんか色んなものがイメージできて、私はすっごいおもしろいです。」


「アハハ!マエダさんが、『女教皇やりたいんですけど』って言ってくれた時に、背中にユリの花とコルセット描いて、胸とかお尻とかそういうあからさまじゃない部分でフェティッシュな色気を出したいって言ってたじゃないですか。」

「あ、そうです!歩海さんがコルセットダイエットやってるって聞いて、思いついたんですけどね。」

「あれ、ぴったりだと思ったんです。
処女ならではの潔癖さとか、神官のストイックさとか、コルセットの締め付け感にぴったりだなって。ホントはもっと、女教皇のストイックなイメージに合わせて身体を絞りたかったんですけどね~。笑   色々あって無理でしたけど。笑」

「あ、そう言ってもらえるの嬉しい!私このタロットメヘンディでは、例えば女教皇だからザクロと月の絵を描くとかBとJのアルファベットをどこかにいれるとか、そういう風に絵を象徴や記号として使うのではなくて、そのカードが象徴するイメージを、今、歩海さんが言ったような、『女教皇=ストイック=コルセット』みたいな感じで、抽象的なイメージに置き換えて絵にしたかったんですよ。それこそウェイト版タロットの、絵をまるで言葉みたいに使う描き方も好きなんですけど、私はそれよりもうちょっと抽象的なイメージが伝わる感じにしたいなって。」

「たしかに、絵を具体的な記号として使うなら、このウェイト版のタロットが、タロットとしては一番優れてますからね~~」

「そうそう!あ、あとは、女教皇に関しては、色気が偏執してるってイメージも出したかったんですよ。内在させてる性的な欲求が偏執して、フェティッシュな色気としてでてる、みたいな。そのイメージに、コルセットって私もぴったりって思った!あ、でも、いまいちわかんないのが、女教皇の意味のひとつの、『秘密』ってなんですかね?」

「教典のToraを半分隠すように持ってるんですよ、女教皇。
それは、神と、普通の人間の間には知らされていないことがあるっていう意味でもあるんです。聖職者はそのToraを、秘密の律法として学んでいるという。
すべては明かさないことで神秘さを醸し出しているわけなんですよ。
真摯に追求する者にだけ、知ることができることがあるっていうことなんですよね。
まあ、あとは誰しもが何かしら秘密を持っている、っていう意味合いもありますよね。あとは何を見るためにカードを引いたかで秘密の意味が色づいていく感じです。」

「そうか~、なるほど。……なんでか、『秘密』ってちょっとセクシーですよね。別にその内容がセクシャルなものじゃなくても、なんか気持ちがムズムズするわ」

「はは!そうかも。笑」

知りたい、という欲望が喚起されるからかな。

だとしたら、知りたい、何かしらの情報や知識を得たいという欲求も、生存本能の一部として体に組み込まれているのだとしたら、それはそれでまた、面白いですよね。






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