2012/05/11

Super moon
個人的にとてもつらい思いをした時に、
結局、死ぬほど嬉しい事もつらい事も、
感情が動くという意味では同じ事かもしれない、と思った事がありました。


相反すると思っていた二つの要素が、
実はひとつのものの側面をそれぞれ見ているのではないかと。


だったら、「気持ちいい」と「痛い」も刺激という意味では同じことだよね?


そう 思ったのが、SMに興味を持った理由のひとつです。
あくまで理由のひとつ、ですけどね。


まだSMに関しては超初心者で、片足の親指程度しか突っ込んでいないのですが
意外と「鞭」に対しては初めから心躍るものがありました。


なんか、あの形が好き。特に一本鞭。


皮だし。


振った時のヒュンって音もゾクっとしていい。


打たれると痛い事は痛いんですけど、
背中だと意外とあとに残るジンジン響くような痛さではないんですよね。
同じ場所に2度くるとさすがに皮膚が切られるような錯覚があるくらいは痛いんですが、
私が何度か打たれた鞭は一本鞭といえど手触りのいい皮が編みあげてあるやつで、
それなりに連続して打たれても耐えられる事は耐えられるんですよ。
勿論、打つ側が加減してくれてのことなんですけどね。




「ゆうきちゃんはさ、痛いってこと自体が、気持ちいいの?」


以前、緊縛のM友 ゆうきちゃんにこんな質問をしたことがありました。


ゆうきちゃんの自宅にて、
そのとき食べていた常夜鍋にフィットした会話かどうかはアレでしたけど、
まあ、いつも会うとこんな話ばっかしてるんですよ。


「う〜ん。 初めはさ、ちょっと痛いのも好きかな、とも思ったんだけど、
 どっちかって言うとそれよりも私は彼のために痛いのを受けいれるってことが好きなんだよね。
 彼の願望を叶えるために痛みに耐える、っていうのが嬉しいの。
 で、彼もさ、どっちかってゆーとMの女性の望む事を与えてあげて充実感を得るタイプのS男だから、
 必ずしもハードな痛みがないとダメなわけじゃないんだよね。
 セックスのスパイスとしてのSMってゆーか。
 ただ人によっては痛みが無いとイケない人もいるし、
 罪悪感で自らを罰しないと性的に感じられないって人もいるみたいだけど・・・
 少なくとも私はその方向ではないんだよね。」


へえ〜なるほど。
なんてゆーか、健全なSMですよね。
快感を追求する事がお互いの関係を向上させるという、
ベクトルがプラスの方に向いてますもんね。
「痛み」というもの自体に興味が湧いてる私自身とはやっぱり違うなあ。
生粋のM女というのは。


鞭を打たれる事での痛みということでいえば、
私は今の段階では「耐える」ということが、楽しいんですよ。


だって、自分がそんな風に追いつめられることって、そうそうないじゃないですか。
追いつめられるのって、私にとっては緊張感を味わうことなんです。
緊張感そのものを求めているというよりかは、
その緊張感から解放された時の解放感と虚脱感でしょうか。
緊張感っていうのは自我があってこそのものだと思うんですが、
その感覚は、多分、他者との境界線によって成り立つ感覚ですよね。
痛みによる緊張感に耐えきれなくなってそこから自分が逃げ出したとき、
自我を放棄した自分と、他者との境界線が消えた世界、たぶんそれって、
なんかエクスタシーと似てますよね?


なんか同じようなかんじで、気持ちいい気がするんですよ。


あたりまえですけど身体って、意外と痛みに対しては敏感なんですよね。
精神的なストレスで身体が危機感を感じるくらいに追いつめるには結構時間がかかると思うんですけど、
鞭だったら数発で身体に震えがくるくらいには追いつめられるんです。


できるだけ自分の限界まで耐える方が精神も身体も追いつめられるわけですけど、
その「限界まで耐える」ってことが、意外と、難しい。


・・・だって、痛いし(笑)


痛くても、痛いって言っちゃうとダメなんですよね。


なんか自分的に気持ちが折れちゃって、痛みに耐えられなくなってくるんです。
それじゃ、意味ないし。
できるだけ、耐えられるとこまで耐えてみたい。
その方が、そのあとの解放感が大きい気がする。


まあ、なかなかそこまではやってもらえないんですけどね。
打つ方だって打たれる方の様子見て加減するわけですから。
私一人が突っ走ればいいってわけじゃないんですよね。


痛みで心拍数が上がってきて呼吸も乱れてきて、
それをなんとか意識下でコントロールしようと必死になっている時が、
一番、今の初心者の自分的には楽しいかなあ。


多分、本当は自分でコントロールできなくなった時が、
一番、楽しくて気持ちいいんでしょうけどね。


多分、本当はそこらへんを、求めているんでしょうけどね。


それは多分まだ先の話。


常夜鍋の豚肉にキムチをはさんで胡麻油をつけて食べるとゴハンに合うねえ。
なんてゆうきちゃんと言いながら夜も更けたころ、
いきなり玄関のチャイムがなりました。


宅配便でした。


平たい四十センチ四方の梱包を手に部屋に戻ってきたゆうきちゃん。


開けていいよ、と差し出されたので
素手で段ボールの梱包を破り開けてみました。


中からでてきたのは、黒い皮の、
形的にはシャモジをちょっと大きく四角くしたような感じの。


とりあえず、持ち手だと認識できるところを右手で握ってみました。
持ち手のあたりに、スタッズ?っていうの?鋲みたいのが打ち込んであって、
なんかハードな外見の小さめ布団たたき?
てゆーか、ラケット?




「パドルっていうんだよ。」






・・・ぱっ 




パドル??




へ へえ〜〜・・。




「これで、なに、叩くの。」


「なにって、お尻とか。」




試しに自分の太腿を打ってみたら、
ぱーんと清々しいくらいにいい音がして目が覚めました。


あ、いい音が出るように、打つ面が皮が二枚重ねになってる。


いいね、コレ。


なんか、持ってるだけでわくわくする。


なんだか目の前にいるゆうきちゃんの、
太腿でもいいから叩きたくなってきてしまいました。


しかしこのパドルの送り主であるゆうきちゃんの彼氏より先に
これを使用するなんて、さすがに申し訳なくてできませんでしたのでしませんでした。




鞭といいこのパドルといい、


SMの道具って、なんかそそるんだよなあ。