2014/12/05

身体


二十代のころは「自分の身体」はどんなに虐げても黙ってついてくる、
奴隷のようなもんだと思っておりました。

一体いつから私の「身体」と「精神」の主従関係は逆転してしまったのでしょう。
前回はポテトチップスが、煙草がどうのとアンチ健康志向的なことを書きましたが、
決して私は自分の健康を考えていないわけではないのですよ。

てゆーか、私は明らかに自分の「身体」のご機嫌を伺いながら
日々を生きていますから。


先日、初めて真夜中に救急車を呼んでしまいました。

・・・ていうかスミマセン。

今思えばそんなに救急じゃないのに呼んでしまいました。
なんかさ、最近タクシー替わりに救急車呼ぶような不届き者がいたりするんでしょ?
勿論私だってそんなつもりは毛頭ないんですけど、
予想外の自分の状況にその時は軽いパニックを起こしてたようです。

今まで経験したことの無い唐突で暴力的な目眩と吐き気に襲われたのが
およそ午前0時。
途切れること無い強烈な吐き気に二時間ほど身悶えたところで、
このままでは自分の生理機能すら自分で管理できなくなってしまうような恐怖に襲われ、
救急で病院に行ってきました。

別に何か悪いものを食べたわけでもなく、
持病があるでもなく、
てゆーか、フツー、食中毒とかだったらさ、
とりあえず一回胃の中のものだしたら少し楽になったりするじゃない。
繰り返し繰り返し強い吐き気が何時間も波のように打ち付けてきて、
後頭部にある「吐き気スイッチ」みたいなのを一回押されたらもう
とまらないのよ、ッて感じでホントにもうキツかったです。

「とりあえず頭のCTと血液検査しましょう。」

ということでなんとか吐き気をこらえながらCTを撮り、
左腕から血を抜かれ、
目眩と吐き気の原因もわからぬまま、目眩止めの薬を点滴。

・・・いや、ホントは私的には原因はなんとなくアレのような気がするんですけどね。

医者にも救急隊員にもこの申告は無視されましたが、
丁度前日に耳鼻科で処方された、クラリスロマイシンという抗生物質。
その副作用じゃないかと思うんですよね。

クラリスなんてカワイイ名前のわりに重厚感のある粒のでかさと金のパッケージで
なかなか強そうなやつだなあ、と思いながら薬剤師さんから受け取ったんですけどね。

前日の、最初の服用の直後に、身体にズシっと重い感じがきたんです。
で、その少しあとに激しくお腹を壊したので
「これは・・・・強い薬だなあ。」
と思ったんです。
というのも、以前にも一度抗生物質で下痢と吐き気に襲われたことがあったもんで、
その時の唐突な感じとなんか似てたんですよね。

医者的には服用から既に時間が経過していたということもあって
そのセンは無いとの見解でしたが
とはいったってそんなの体質とかきっかけとか個人差とかあるわけだから
一概には言えないじゃないね、というのは私の思うところなんですが。

それにしても、強い継続的な吐き気ってホントに辛い。

なんつーか絶えず殴られ続けてるような感じだなって思った。
いや、別に痛くはないんだけど、
継続的な強い緊張感とか恐怖感とか唐突な衝撃とか
そういうものに耐え続けることの凄まじい疲労感とか。

辛すぎて吐きながら泣いてたら、
看護士さんに「ほら、泣いても良くならないでしょ。」と言われたので
「てゆーか、泣かなくても良くならないんで、だったら泣いた方が気が紛れて一瞬だけど楽なんで・・・!」
ってことで泣きながら吐かせて頂きました。


結局吐き気は翌日の午前9時まで続きましたが、
もしあと丸一日でも続いてたら、死にたくなるんじゃないかと思ったよ。

ほんの一晩の出来事でしたが、
朝には力んだ身体中が筋肉痛で、腕は内出血してるし、
もともと乾燥気味の肌は軽石のように変質してるしで
もうボロ雑巾のようでした。


で、夜中にげろげろ胃液吐きながら考えてたんですが、

きっと、人が耐えられる苦痛なんてたかがしれてるんだろうなあ、と。

昔、抗がん剤の治療を受けていた末期ガンの知人が、
副作用の吐き気が辛い、といって途中で治療をやめて死に支度を始めたことがあったんですよ。
家族からは「なぜ諦めるのか」と泣かれたらしいが、
彼女は「もうこれ以上は頑張れない」と言ったという。

今なら私も彼女の気持ちが少しだけど、想像できるわ。

気持ちよりも何よりも、身体が辛い、痛いというのはなによりキツいね。
いやもう、圧倒的だね。
以前に吐き気付きのひどい片頭痛でもそう思ったことがあったけど、
私、あんなに強い吐き気だったら三日が限度だと思うわ。
しかも、それがいつ終わるかもわかんなかったらきっと、
精神的にもおかしくなる気がする。

あたりまえのことなんだけど、
どんなに痛くて辛くても自分の身体の痛みは確実に自分の身体の中にあって、
他の誰が変わってくれるもんでもない。

なんかもうそれが致命的に辛いのよね。




いや、

こんな風に身体が辛いのはもうホントに勘弁ですわ・・・。

頼むからこういう苦痛とは無縁で生きていきたい。

まあ、誰しもがそうでしょうけど。


だけどなんかさー、
自分が肉体持って生きてるってことは、
これ以上に様々な肉体的な苦痛を感じる可能性があるんだなって思ったらなんか・・

背筋がうすら寒くなりましたよ。


ああなんか・・・


生きてるって、


怖い。

























2014/11/30

意地


     

世間が煙草に優しくない昨今、
されど私のまわりの喫煙者は皆、意志が固く強気です。

「いくらでも値上げしてみろって思ってるよ。
 それでも吸いたいヤツだけが吸えばいいんだ。
 俺は絶対、やめないけどな。」

もちろん、そうは言う友人ですが、
決して人様に迷惑をかけるような吸い方をしているわけではありません。
非喫煙者の前ではほとんど煙草は吸わないですし、
了解を得て吸ったとしても非喫煙者の私の服や髪やらに匂いが移らないよう、
煙の行く先にもきちんと気をつかってくれる常識人です。
喫煙姿勢が謙虚な喫煙者というのは私的には好感度が高いのです。

「煙草ッて言うのは身体にいいから吸ってんじゃなくて、
 精神にいいから吸ってるんだよ。
 そういうものは煙草の他にもいっぱいあるし、
 それはある意味で人間が生きていくのに 必要なものなんだ。
 そういうのもわからないやつが正義を振りかざして禁煙!とかいってるのきくと
 腹立つんだよな。」

と、とある彫刻家である知人はそんな風にいってましたね。

まあ、どちらの言い分も的を得てるっちゃ得てますよね。

私は喉の粘膜が弱く煙草が吸えないという理由で非喫煙者ですが、
正しいことが嫌いという理由でいつでも喫煙者の味方です。

で、それとはまた別の話なんですけど。

最近、ポテトチップスに発ガン性物質が含まれているというハナシがちょっと話題になりましたよね。

ジャガイモにもともと含まれている成分が、加熱することで発ガン性物質に変わるという。

「アクリルアミド(発ガン性物質らしい)は遺伝子や染色体の構造に変化をもたらし、
 次世代にも影響しうる発ガン性物質、と評価した」

・・・って、毎日新聞がいってるらしいです。


てゆーか
わたし、これを聞いた時、ひさびさに怒りのような感情を感じましたよ・・・。



発ガン性?

だからなに?

つーか、これだけ身体に悪い食べ物が世の中に氾濫している中で、
なぜ私の愛するポテトチップスを槍玉にあげるのですか?

私は、食事とは目的を異にするお菓子という食べ物の中で、
ポテトチップスという食べ物をことさら、非常に愛しています。

だから今回はなんかカチンときたんですよ。


てゆーか大体、「あの食べ物には発ガン性物質が含まれてるから身体に良く無い」とか
逆に「あの食べ物に含まれてるなんとかという成分はカラダに良いから食べた方が良い」とか

いちいちマスコミが煽るのが気に食わないんですよ。
消費者だってみんなが賢いわけじゃないから、
悪いといわれりゃメーカーが泣くし、良いといわれりゃ馬鹿買いするし
そうやって煽られるわけでしょ。
そう言ってる私だってこうやって煽られて不本意にも怒り心頭だし。

大体さ、たとえばマクロビクッキーとか全粒粉お豆腐マフィンとかじゃなくて、
ポテトチップスを日頃から愛食しているってことはですね、
カロリーとか塩分とか多少の添加物を覚悟してでも、
食べるべき価値をそこに見いだしているからこそ食べているわけなんですよ。

だから正直言って、
今回のハナシもたかがそんな天然由来の発ガン性物質のことなんて
どーでもいいんです。

そんなことで、私のポテトチップスに対する愛は変わらない。

例えばさ、自分の大好きな彼氏の悪口を、
第三者が吹聴してまわってたらむかつくでしょ。

「彼はさ、実は・・・・らしいよ!」

とかね。

むかつくでしょ。

知ってるよ。

こっちはそれコミで付き合ってるんだよ!

よくも第三者がいかにもなテイでわかったようなこといってくれますねえ。

という感じなんです。

まあいいや。

私はこれからもポテトチップスを愛し続ける覚悟が決まりました。

てゆーか、べつに覚悟なんていらないけど
無駄に煙草好きを宣言する私の周りの喫煙者の気持ちがなんかわかりましたよ・・。


まあでもさ、だいたいこういうアンチ健康志向な人たちッて
意外とある年齢をこえると急に煙草ヤメたり油ひかえたりジョギング始めたりするんだよね。
若いときはまあ、どんなに夜更かししても三食ラーメンとか食べてもそんなに身体に不具合ッて出てこないんだけど、そこそこ歳とってくると食事とか睡眠とかの生活の基本が見事に身体に反映されるようになってくるからね。

きっとそこらへんで、ちょっと弱気がでてくるんだよね・・・。

かくいう私ももっと歳とって身体の代謝機能が落ちてきて、
「ポテトチップス食べたら翌日には顔にいくつも吹き出物が」
みたいな状況になったらきっと弱気になってポテトチップスやめるとおもいます。

たいへん不本意ではありますが。

でもまあ、私の周りには脳梗塞やったあとも煙草ヤメない強固な意志の持ち主の方もいますから、
そういう人の存在に勇気づけられて一途に愛をつらぬけるかもしれませんけどね。


つーかナニコレ。


意地ですかね?




2014/09/14

八月


今年の夏の微妙なメヘンディブームのおかげで忙しくしてたんで
ちょっと忘れていましたが

初台で拘束具を展示販売してたんですよ!
今更ですが、わざわざ初台まで見に来てくださった方、購入してくれたお客様、
着けるだけ着けて散々遊んで行ったけど結局買ってはくれなかった方々まで、
とにかくありがとうございました。

すごい売れたわけじゃなかったんですけど、
ちょっと私的に手応えがあったので来月の大阪の「三隣亡」にもまた出す予定です。

「押しの強い外観のわりにしっとりした着け心地がお気に入りです。」

購入してくださった方から頂戴したとてもうれしかったお言葉。
そうでしょう、そうでしょう。
ソフトな肌触りはちょっとこだわったんです。

初台での展示とはまた別の話なんですけど
このあいだ久しぶりのSMの方々との集いに参加させて頂いた時に
この拘束具を持って遊びに行ったのですが、
ひとりの男性が大変この首輪と手枷を気にいってくれたんですよね。

「すごくいいですね、これ。デザインがとても素敵です。
 ちゃんと、手枷に腕くるぶしの逃げ場まであるし。
 ちょっと、つけてみていいですか?」

「はい、いいですよ、どうぞ。」

・・・あ、自分がつけるのね。
そういえば、この人はSだけどMなんでしたっけね。
日本人なら誰でも知ってるようなでっかい出版社の偉い人なこの彼は、
神秘系とか生物系とかとにかく色々幅広い興味と知識をお持ちの方で
そんな彼ならSでもMでもなんでもOKだろうなって
まあ、そんな感じのする方なんですけどね。
とりあえず、両手に手枷を装着してみました。

「あ、着け心地もいいですねえ。なんか、Mのスイッチがはいりますね。
・・・この両手を、頭の上にあげるような感じで後ろ手に拘束できますかね?」

え?できるっちゃできますが

「鎖の金具を、ベルトの後ろに引っ掛ける感じでいいですか?」

「ああ それで、いいです。そうやってください。」

「腕、痛く無いですか。」

「いや、ちょっとくらい痛くないと意味ないでしょう。」

そりゃそうですが、いっときますけどコレ、
ベルトに金具を固定したら自分じゃ調整も取り外しもできませんからね。

・・・そんな感じでしばらく試着させてあげてたんですけど

その人ったらそのまま脇見せのポーズで腕を頭の後ろに組んで
私の手枷に拘束されたまま、
20分くらいず〜っとそのまま椅子に座ったままなんですよね。
たまに腕を左右に動かしてカシャカシャやってるんですけど
基本じーっと目をつぶってなんの妄想をしてるんだかは知りませんが

味わってるんでしょうかね。
マエダ印の手枷の、しっとりとした拘束感を。


・・・


・・・てゆーかそろそろ試着の領域越えてる気がするんで、
そのまま着けてるんならソレ、買い取ってもらえます?
ホラ、皮脂とか汗とか付いちゃうと売れなくなっちゃうんで。


って、しっとり妄想にふけりながら拘束感を味わい中の彼に
声をかけたら、とりあえずはずして返してくれました。


・・・っていうか、あんなに気に入ってたっぽいのに返すんだ・・笑

って同席していた緊縛師の加賀さんに言ってみたら、

「ああ、そりゃ、買って帰ったって家族のいる家には持って帰れないだろうしな。
 しかたないよ。」


あ、そうか。
そりゃそうだね。


それにしても、手枷に関して言えば予想外にも
興味を持ったり買ってくれるひとのほとんどが男性で、しかも自分用としてなので
とりあえず試しに次回の大阪の展示には男性サイズのちょっと大きめのヤツも
置いてみる事にしました。

一番人気だった二連金具の手枷の金具が茶色版も作ってみました。

実用的には一連が使いやすくていいと思うんですが
ごつい方が視覚的にはそそるみたいね。













 














2014/09/03

身勝手


友人、碧ちゃんができた子供を堕胎したと言った。

まあ、そういう話は陽気に話す話でもないけれど、
じめっと暗く話しても仕方ないしな。

というわけで、その日その場に居合わせた私と碧ちゃんと
もうひとりの友人、舞子さんの3人でまあ、フツーにおでんを食べながら
そんな話をした。

「今年に入ったくらいから、急にこどもが欲しくなってさ、子づくりに励んだわけなんだよね。
とはいってもホラ、私の彼って結婚してるから、
彼は子づくりには消極的だったわけでなかなか妊娠しなくてさ。
だけどその間に私、別に好きな男ができて、その別の男とも付き合い出したんだよね。
で、まあ、私は二股かけてるし、それがもともと付き合ってた彼氏にもばれてモメ始めて、
結局そのもとの彼とは別れるかどうかってとこまでいったんだけど。」

・・・

「私、もし誰かの子供を産むとするなら、絶対その、もとの彼氏の子供がよかったんだよね。
男として、彼氏としてどっちが好きかって言ったら断然、新しい方の彼氏の方がすきだったんだけど、
自分の子供の父親、って考えたら絶対にその、もとの彼氏がよかったの。」


「・・・で、どうしたの。」


だいたい、わかるけどな。


「新しい彼氏には何も言わないで、
その新しい彼氏への嫉妬に狂うもとの彼氏に馬乗りになって子づくりした。」

・・・そ、そうか。

まあ、父親にするならこの男、恋してセックスするならこの男、って感じで、
目的に応じて求める男が変わるっていうのはなんとなくわかる。
ちなみに、ここでいう「父親にするならこの男」というのは俗にいう「結婚したい男」とはまた別である。
碧ちゃんは私と同じ34歳だが、全くと言っていいほど結婚願望が無い。
手堅い仕事も持ち経済的にも精神的にも自立しているので、
周りの女友達が結婚して子供産んでるから、そろそろ私も、というような
いわゆる自分の歳に焦っている、という状態とも無縁である。

だから碧ちゃんはきっと、自分と掛け合わせる遺伝子に恋をして
その父親候補の彼氏に出会ったのだと思う。
そして、自分が生きる糧としての恋を求めて、恋愛対象としての彼にひかれたのだと思う。

碧ちゃんは、一点の妥協も無く、その両方が欲しかったのだ。
もしかしたらそれくらい、そのふたりの男は碧ちゃんにとっての理想の恋人と、
自分の子供の父親だったのかもしれない。



「でさ、できたわけでしょ。なんでそれを、堕ろしたの。」


「うん、妊娠がわかって、2週間くらいした時にさ、
新しい彼の方にも言っとかなきゃ、って思ったんだよね。
で、メールしたんだよね。
『妊娠しましたがあなたの子供じゃありません。』って。」


・・・そりゃまた唐突な。


「私としてはさ、そこで別れ話がでるのも覚悟はしてたんだよね。
だって、他の男との子供がお腹にいて、
それでも今までと同じような付き合いが続くとは普通思えないじゃない。」


ま、まあふつうはそうだけどな。
だけどここまでの話があんまりフツーじゃないんで
もうフツーとかそういう問題でも無いっていうか。


「でね、その妊娠しましたってメールの後に新しい方の彼と会ったんだけど。
彼はさ、あたりまえだけど私のメールにびっくりして色々思いめぐらせたみたいで憔悴してて、
仕事を抜けて会いにきてくれたんだけど、初めは、私の顔見ても何にも言わなかったんだよね。
子供の父親についても聞かなかったし、これからどうしたいのともきかなかったし。
でさ、しばらくした時に、泣きそうな顔で、言ったんだよね。
実際顔は泣いてはいなかったんだけど、顔以外の身体の全部が、泣いてるような感じでさ。
『とりあえずは、今のままでいよう。』って。
『あなたは、あなたの生きたいようにしか、生きられない人だから』って。」

・・・

「わたし、それ聞いた時にさ、今までもその彼のことはものすごく好きだったんだけど、
その何倍も、好きだって思ってさ、この好きだって気持ちのままで、
その彼ともう一度セックスしたいって思ったんだよね。
おなかの子供抜きで、
どうしてもふたりだけでセックスしたいって思ったの。」


初めは、碧ちゃんがこの話を始めたとき、彼女は懺悔をしたいのかと思っていた。
私たちに話す事で、自分自身か、そのほかの存在に赦しを請いたいのかと思っていた。
だけど、碧ちゃんは万にひとつも後悔の念は無いという。
なぜならそこで、碧ちゃんは、自分の人生に必要なものを自ら選びとったから、と。


「そのセックスは、気持ちよかった?」


「うん、今まで生きてきた中で、一番気持ちよかったよ。
今は、その新しい彼と仲良くやってる。
勿論、中絶したときは哀しいっていうかすごく寂しかったけど、
私は何も後悔してないから辛くはないし、
むしろこの先、堕ろしたことを後悔するような人生を歩んだら、
それこそ私の人生が失敗なんだって思った。」


ずっと黙って黙々と酒を飲んでた舞子さんが言った。

「子供を堕ろしたことで、なにも引け目を感じたりすることはないよ。
 女が、大昔から、どの時代にも繰り返しやってきてることなんだから。」

だけどまあ、そういうことはおおっぴらには言えないよね。
本人がちゃんと人生を歩んでいる中でのことだから、
勿論、親しい人たちは基本的には理解してくれるだろうけど
「堕胎はいいのか、悪いのか」という普通に生きてたら考えなくてもいいような
重い問いを突きつけられることになるからね。
できることなら、わざわざそんなことを親しい人に考えさせたくもないので
必要がない限りは、言わなくてもいいのではないかと、私は思う。
だけど、言えないからといって引け目を感じる事も無い。
それくらいのもんだと思う。
勿論、例えばレイプされた女性にできた子供の堕胎は致し方ないか否か。
というようなある意味究極の問いでなかったとしても。

でもまあ、
曲がりなりにも、ひとり殺してるわけだしな。
まだ腹の外の世界を知らない存在とはいえ、
自分の腹の中のひとつの命を自分の都合で処置したとなればなんというか、
人間性というよりももっと、
女の母性本能的な部分を否定されそうな感じもするもんな。
なんつーか、世間的にはね。


「いや、私は高校生と中学生の子供がもうふたりもいるけれど、
女の母性本能だって、所詮は感情なんだって思うよ。
かわいいときは勿論、すごくかわいい。だけど、憎いときは憎い。
母性本能って、女なら誰でも持ってるこの世で一番尊い本能のように言われたりもするけど、
結局はそれだって湧いたり消えたりする感情と一緒なんだよ。」


舞子さんは話しながらも酒を飲む。


「結局、子供を堕ろしたのをきっかけに前の彼とは別れたんだけどさ、結局私は、
子供とか、子供の父親とか、そういうものよりもセックスの相手としての、
恋愛対象としての男が必要なんだって思ったんだよね。
そういう相手といる時の、甘い香水をぶちまけたみたいに幸せな時間とか
泥に埋まってくような辛くて苦しい時間とか、
セックスの快感とか、嫉妬とか、自己愛とか、独占欲とか、
普段では考えられないくらいの相手に対する謙虚な気持ちとか、
それこそ別れた時の死ぬほど悲しい気持ちとかまで、恋愛に関する全てのものが、
そういうのが、私にとっては一番、大切なんだよね。
だけどさ、結局はそういう自分の欲求のために、ひとり死なせたわけでしょ。
たまにさ、男に死ぬほどのめり込んでいく女とか、子供を殺める母親の昔話とか、
そういう女の身勝手さを、女の情念とかどろどろしつつも美しく語るような物語ってあるじゃない。」

ああ、阿部貞とかね。
アレは子供を殺しては無いけど、
自分本位な女の本性を題材として作品にもなってるしね。


「そう、女の本性なんてさ、全然恐ろしくも美しくもなくて、
 単に徹底的に自分本位だし身勝手なんだよ。
 まあ、少なくとも私は、だけど。」


そうかもしれない。
そして誤解を恐れずにいうならば、それは女の強さでもあるかもしれないね。


「私の友達のひとりでさ、今、熱心に子づくりしてるコがいるんだよね。
だけど、なかなかできなくて、排卵日チェッカーかなんかで排卵日を測定して、
その前後に狙い撃ちで旦那さんとセックスしてるらしいんだけど。
とにかく子づくりに熱心なのはその奥さんの方だけでさ、
旦那さんは、別にそんなに焦らなくても、自然にできればいいじゃんって感じなんだよね。
だけど奥さんがとにかく子供を欲しがるから、
そんな子づくりをもう半年以上つづけてるらしんだけど、
最近ではもうそういう子づくりのためだけにやるセックスに旦那さんの方が嫌気が差してきたみたいで、
旦那さんがその子づくりセックスを拒否するようになってきたらしいんだよね。」


・・・たしかに、それはそうだろう。
男でなくても旦那さんの気持ちはわかるわ。

だけど、子づくりに執着する女は私の友人にもいるけれど、
あれって一度始めると子供を作るということ自体が
世間体とか自分の存在価値の確認みたいなことと関わってきちゃってなんか
変なスパイラルにハマって大変そうな感じもするのよね。



「うん、だからさ、欲しいも、欲しく無いも結局は女の身勝手なんだよ。」
 

「産むも、産まないも女のエゴ。」


舞子さんはそう言ってまた、酒をのんだ。


そんな女の身勝手を、

それを醜さとするか強さとするか
それは私にはわからない。


だけど、それは正しくも無いし間違ってもいない。


命を抱えることができる女の体は、
そんな薄っぺらな二元論ではできてはいない。

善いも悪いも好きも嫌いも
恨みも快楽も
悲しみもやさしさも
決して割り切ることをしない
全ての矛盾を抱き切る身体を

持て余しもせず、
味わい尽くす女もいるというだけの話である。






2014/08/29

お胸



お胸が大きい女性のお胸に関するお話は大概、つまらないんですが
お胸が小さい女性のお胸に関する話はおもしろいんですよ、大概。

まあ、お胸が小さい女性のお胸の話は多少なりとも自虐要素が含まれるので
同性の反感を買いづらいというのがあるとは思うんですけどね。


今週の頭に、名古屋の友人ケーコさんに会いに行ったんです。
ケーコさんはパキスタン人の旦那様を持つ私と同じくらいの歳の女性で、
背はそこそこ高くスレンダーな体型の、
オタク気質が微妙に顔に現れてるなかなかの美人です。

ちなみにお胸は小さいです。

こんなとこで暴露する話じゃないですが。

てゆーか別に彼女の生のお胸を見たことはないんですけどね。
まあ、全体的にお肉の少ない体つきといい、華奢な肩といい、
たとえおっぱいが小さかったとしても別に不思議はないというか。
まあそんなもんなんですけどね。

ちなみに、名古屋であったもうひとりの友人、ルチャはいわゆる巨乳なんですよ。
可愛いらしい顔立ちながら化粧ッ気が無く、
田舎の子供のような素朴な印象が常につきまとう彼女の鎖骨下には
常にたわわな小振りメロンくらいの。

つーか、別に巨乳を強調したいわけじゃないんだけど、
フツーにブラして持ち上げるとこのくらいのボリュームになっちゃうんだよね、的な
ルチャの不本意ながらに巨乳、を匂わせる膨らみは
数ヶ月ぶりに会った先日も健在でした。
全くもって、ずるいお胸です。


名古屋での夜、友人3人と水煙草が吸えるシーシャバーでのひと時。


「キャミソールでさ、肩紐が二本あるタイプのやつってあるじゃん?
 そういうキャミソール着てさ、ブラも着けると、肩紐が3本になるじゃんね。
 こないださ、そんな感じで肩紐三本でオフショルダーっぽい服を着てたらさ、
 ウチの旦那さんに
 『なに?ケーコはおっぱいちいさいからブラジャー3つ着けてるの?』
 ・・・とか言われてさ・・・!!」


なんて、
ケーコさんがまた超おもしろい小さいお胸の話を始めてくれたので
さて 実際どんだけケーコさんのお胸が小さいのかこの機会にたしかめてやろうと
思ったわけですよ。


「ねえケーコさん、お胸、触ってみてもいい?」

ッてきいたら「いいよ」って言うので触ってみようと思ったんですけど、
その前にまずはケーコさんの横に座ってた、ルチャの不本意な巨乳の方から
触ってみようと思ったんですよね。

ホラ、なんてゆーか やっぱり比較対象あってこその障り比べってゆーか。

そんなわけでルチャの巨乳に軽くタッチさせてもらったわけですけど。
やっぱり、軽くタッチしただけでも、柔らかくてあったかいんですよね。

あ〜〜、女の人って感じがする。

女の人ってさ、胸元がなんか赤ちゃんみたいな匂いがするんだよね・・・。
別にこの時はルチャとちょっと距離があったから匂いとかわかんなかったけどさ、
このお胸の感触だけでそんな乳くさい甘い匂いまで錯覚として感じちゃったよ。

じゃ、次はケーコさんということで・・・

ケーコさんのお胸にタッチ!



・・・


・・・



「・・・ブラトップって感じがする。」



・・・小さなお胸の感触を味わおうとするも阻まれる。
   はからずともブラトップに。


ってゆーか・・・


ちいさなお胸はブラトップの感触。


これはある意味での真理じゃないでしょうか。




「・・・ってゆーかナニソレもうおっぱいじゃねーし!!
 ってゆーかそれ既に私じゃなくてユニクロだし!!」



しかしなぜ触っただけでそれがフツーのブラのカップではなく
ユニクロのブラトップであるとわかったのか
今となっては私自身よくわからない不思議な体験でありました。

二人のお胸を触った後にシーシャを吸う私。