2017/01/22

収集癖




私にはわからないけれど、
男の人の頭の中にはきっと、
今まで愛した女たちの姿を留めた
アルバムみたいなものがあって、
きっとお酒を飲んだりしている時に
そのアルバムを眺める幸福というか
感傷みたいなものが、
きっとあなたを幸せにするんでしょうね。
女の私にはそんなこと
さっぱり理解できないけど
ていうか、大体、女は昔の男のことなんか
いちいち覚えてなんかないし、
そもそも今ここに無いものなんかに
興味はないから、
そうやって流れていった女たちの
記憶をとどめるあなたに、
まるで色とりどりの蝶の死骸を
ピンで刺して眺めているみたいな、
悪趣味な虚しさみたいなものすら感じるのよ。
そこにはもう、なにも生きてはいないのに。
だからやっぱり私には
そんなことは理解できないけれど、
だけどね、
まるで女たちを
コレクションするように、
そのアルバムに綴じるあなたの気持ちは、
最近少しだけ、わかるような気もするの。
女のひとは
見ても触っても心地が良くて、
聴いても香っても扇情的。
汚しても飾っても可愛くて、
まるでおもちゃみたい。
ペットとして飼いたいと思う男の気持ちも
わかるわ。
どんなにいじめても、傷つけても、
相変わらずに美しいものなんて、
ほかにある?
可愛がれば幸福を、額ずけば官能を。
ほら、
こうやって並べてみたらわかるでしょう。
綺麗なものはどんなに多くても、
邪魔になんかならないのよ。
たしかにこれは集めはじめると、
やめられなくなるね。