2012/04/23

依存



別に辛くも悲しくも無い話なんですが、
昔、付き合っていた男に車で拉致られて山中で殴られた事があります。


殴られたって言っても、お腹と頭2発ずつくらいですけど。
意外と、痛さは覚えてないんですけど、あれって怖いんですよねえ。


なぜ殴られたかというと、その男との別れ際に私に新しい男ができて、
それに開き直った私に男が逆上したという、まあ簡単な理由ではあるのですけど。


その男とは5年近く付き合っていましたが、
その間にその男は私を犬のように扱っていたんですよ。
犬って言ってもかわいがってくれてたってことじゃないですよ。
人間の扱いをされてなかったってことです。
同時に複数の女と浮気はするは、
機嫌が悪ければ真っ先に当たられ、そのくせ私を自宅に住まわせて行動を監視して、
自分が他の女と会う時以外は常に私を自分の監視下に置いておく感じですかね。
まるで首に縄でも付けているかのように犬のように私を扱っていたんですよ。
今 考えれば、DVっぽいですよね。
実際、その男と付き合ってた期間は常にストレスで身体を壊していました。
小さな手術もしましたし、常に病院のどこかしらの科にお世話になっていた気がします。
実際の暴力は数えるほどでしたが、精神的な暴力と言えなくも無い気がします。
別に、今も昔もその男を恨んではいませんけどね。
今 考えると、なんか不思議なんですよ。


まるでただひとつの取り柄のようにギリシャ彫刻のように綺麗な身体をした男でしたが、
一体なぜに私はそんな男と5年間も付き合っていたのだろうか?


別に、その男が好きで好きで別れられなかった訳じゃないと思うんですよ。
だって、自分にそんなことする男、好きでいられるわけないですよね。


今になって思う事ですけど、
多分 私は、その男に徹底的に依存していたんだと思うんです。


自分のどこかに自分では埋められない大きな隙間があって、
その隙間をその男に埋めてもらおうとしていたんでしょう。


本当は、その隙間は、男ではなく自分自身で埋めなければならないものだったのに。


埋めてもらうようになっちゃうと、
その男が自分の構成要素のようになってしまって、
その男無しでは自分という人間が一人では歩けないような気になってきちゃうんですよ。
だから、つらくても別れられなくなっちゃうんです。
依存の定義は人によって違うと思いますが、私にとってはそんな感じ。


そんな依存心に満ち満ちた私と付き合っているということは、
多分男の方も、依存を受け入れる人間でないとそんなに長くは付き合っていられないですよね。


依存の需要と供給が上手く噛み合って、
そんな関係が5年も続いてしまったのではないかと。


人との関係ってそんなもんですよね。
相互にひかれあってるんですよ。
たとえ、傷つけ合う関係だったとしても。


今になったから言える事ですけど、
「人間関係」って、決してお互いの性格だけでできあがるものじゃないと思うんです。


自分が相手を触発して、相手も自分に触発されるんだと思うんです。


自分が求めて、相手がこたえる。


相手が求めて、自分がこたえる。


それが上手くいかなくなったら、関係の継続が不可能になる。


関係を続けたかったら、自分が何を求めているのかを、相手に伝えなければならない。
相手に、応えなければならない。


だけど、ただ関係が続けばいいのではなく、
「いい関係」を築いていくためにはどうすればいいか、
「いい関係」を仮にお互いが自尊心を失わずにお互いを幸せにできる関係と考えて、
もしその「いい関係」をお互いが築けないとわかったら、
その関係を断ち切る勇気すらも持たなければならない。


「いい関係」とは何かを考えること。
そして、それが叶わなかった時に、関係を断ち切る覚悟を持つということ。


多分、それが一番 大切。
断ち切らなければ、お互いが傷つけ合うようになるから。


多分、昔の私にはそれが、できなかった。
ひとりになったら、自分で立っていられなくなると思ったから。


若さゆえですけどね。


自分のこともろくに見えていなくて、
「いい関係」が何かも想像すらできなかった。


「関係」はそこにいるふたりが、ふたりで作り上げて行くもの。
うまくいかなかったとしても、それはどちらかひとりの責任じゃないと思う。


人ひとりでは「関係」はつくれない。
「関係」を存在させるには、そこに最低限でも自分と相手が必要になる。
間違いなくその関係を作っているのは、自分でもある。


相手が暴力を振るうのは、それを受け入れる自分がいるからだ。


私のその時の依存心が、彼の良く無い部分を引き出してしまったのかもしれない。
関係を断ち切れなかった自分が、彼をそんな形にしてまで繋ぎ止めてしまったのかもしれない。




真夜中に車に引きずり込まれて、殴られて、


意外と殴られる事自体は痛くはないんだけど、
殴られる瞬間までがすごく怖いんだなあ、とそんなことを考えてたんですよ。


彼の怒りが収まるまでじっとしていようと思っていたのですが
彼に携帯電話を奪われそうになったので、
携帯には新しい男の連絡先も入っていたし、
さすがに黙ってじっともしていられなくなって、
勢いで携帯電話をぶっ壊したんですよ。自分で、まっぷたつに折ったんです。


まっぷたつになった携帯電話を思い切り投げつけたら、
意外にも男が目が覚めたように冷静になって、
気がついたらそこでその男との関係は終わっていました。




ああ なんだ 




そういうことか




もっと早く、




「いや」って言ってあげれば良かった。




いい関係を築く力が自分に無いのなら
せめて、早く 断ち切ってあげればよかった。




そうしたなら、彼もこんなに傷つかずにすんだかもしれないのに。




いまだからこそ思うこと。




もしかしたら彼も、私の依存心の餌食になって辛かったんじゃないかな。


だからって勿論 どちらが悪いとも思わないし、


後悔も、してないけどね。