2011/11/08

吉祥寺のナツコ


バリ島での話。


ウブドのホテルのフロントでいきなり声をかけられました。
声をかけて来たのは二十歳くらいのインドネシア人ぽい女の子。
サングラスにオシャレなミニのワンピースを着ています。


「ネ〜〜アナタ?! 一人デ来テル日本人ノオンナノコッて!?」


日本語が流暢すぎて、一瞬 日本人かと思いました。
でもやっぱり見かけは綺麗なブラウン肌のインドネシアン。


「そうだけど・・・あなた、日本語すごい上手だね!?日本に居たことあるの?!」


「ウン!今 日本でハタライテルの!! ナに スゴいね〜〜!! 一人デ来たノ!?」


・・・ハイ。一人です。


旅行はいつも一人なんです。


確かに世界情勢もろくに理解してない上に、
日本語しか解らない日本人の中でもダメな日本人の私が一人で頼りなく旅行してると
いつも「大丈夫?」ってよく心配されますけど。
いつもなんとか思いっきり楽しんでます。
自分のこと全く信用してないのがかえっていいのかもしれません。


「アナタ、日本のドコに住ンデルノ〜〜〜!? 
 ワタシはネ、フィリピン人ナンダケド、 今は、吉祥寺で働イテルノ!!」


え!?


吉祥寺って!


すぐ近くじゃないですか!


「ええ〜〜!わたし、国分寺だよ!! すぐ近くじゃん!」


「・・・コクブンジ・・・?? シラナイ。ドコそれ 近イノ?」


エエ??


なんで吉祥寺に住んでて国分寺を知らないのですか?
もしや下り方面には興味無いってことですかネ?
同じ中央線で乗車時間は十分ちょっとですよ。
確かに新宿から中央線で下った場合、
吉祥寺からさらに奥に入って行く感は否めませんが・・・。


「そうか〜〜。まあ いいか。じゃあ帰国してからももしかしたらどこかで会うかもね。
 あっ そうだ! あなた 名前は? 教えてもらえる?」


せっかくなので、そのフィリピーナの名前を教えてもらうことにしました。
旅先で仲良くなるということは、
その土地と時間を共有するという一期一会に価値があるわけで、
意外と名前は必要なかったりするのですが、せっかくなので記念に訊いてみました。


「ア〜〜ワタシね! ワタシ、『ナツ』っテイウノ!『ナツコ』!!日本デハね!」


ハハ!!


ホントですか?


びっくりしました。


ワタシも「ナツコ」ですよ。


日本ではね!ってことは 源氏名かなんかですかね?


オーナーさんのネーミングセンス、渋いですね。


っていうかそんなもんなんですかね?
その世界のことはよく知らないもんで。
ワタシがオーナーならもっと渋い名前で店内統一しますけどね。
「アヤメ」とか「加代子」とか「沙百合」とか。




「わたしも『ナツコ』だよ!! 奇遇だね!!」


『エエ〜〜〜!ソウナノ〜〜?!ウソ〜〜〜!!一緒ダネ〜〜!」




バリ島の一画、ウブド地区のホテルのフロントに『ナツコ』を名乗る女性がふたり
顔を並べるというのは一体どれくらいの確率でしょうか?
低い確率だったところで別に誰も得はしないのですが、
実はワタシ、まわりに同名の知人っていないんですよ。
だから、妙に感慨深いものがありました。
だって、「ナツコ」なのにフィリピン人だしね・・・。


旅先の、運命を左右するような意味のある偶然ってすごく有り難いけど、


こういう意味の無いくだらない偶然って、なんか好きだなあ。


吉祥寺のナツコにバリ島、ウブドで出会う、偶然!


アハハ。


なんか嬉しかったなあ。