2014/05/11

アマノさん


SM用革製品専門の職人、アマノさんに知人の紹介で会ってきました。

フツーに私鉄沿線の駅前の、フツーの商店街の一画に、
フツーにアマノさんのお店はありました。

アマノさん本人も想像以上にフツーに感じのいい方で、
「どうぞ」ってガラガラとドアを開けてくれました。

まあ、ドアを開けたその中は鞭やら拘束具やら
アダルトグッズだらけの革工房でしたが。


「ウチにはSMに限らず本当に色んな趣味のお客さんが来ますからね。
 こういう商売してると、人によっては鞭ばかり作って売ってるように思われることもありますけど、
 SM用の鞭とかはせいぜい全体の商品の二割にも満たないですよ。
 色んな性癖を持つ人がはるばる来店してくれて、それぞれの注文にあわせて、
 色んな道具を作るんです。」


別に鞭ばかり作ってるわけじゃないとはいうものの、
店内にはずらり様々な鞭の数々。

うわ〜。

たまんない。

やっぱり鞭っていいなあ。
革のヌメっと光る感じといい、動物のシッポみたいに重く軽やかにたわむ感じといい。

まあ、だけどこれだけが全てじゃないっていうのは私もわかる。
性癖っていうのは本当に人それぞれだから。

アマノさんは最近注文で作ったという吊り用の念入りに頑丈に仕立た足枷や、
頭部全体を覆うマスク、自分では取り外しのできない掌まで覆う手枷や
男の局部をくるむ針付きの革のケースなど様々なものを机の上に出してみせてくれた。

「今は無いけど、よく問い合わせがくるのが貞操帯ですね。
 革製のは実用性がないんですけどね、やっぱり貞操帯って名前だけで、
 欲しい人は欲しいって思うみたいで。」

へえ。

そういえば、別の革職人さんも鍵付きパンツの依頼が来たことがあるって言ってたな。
しっくりこなくて断ったって言ってたけど。
世の男性はそんなにも女の下半身が心配なんでしょうかね?

「いや、今は大体が、男性用の商品ですけどね。M男とかゲイの人向けの。」

あ、そうなんだ・・・。

とにかく本当に、色んなものをつくってるらしいです、
このアマノさん。

中には寝る時に装着する革用のマスク(色違い二種)とか
一体どこに性的興奮を覚えるのか私には理解できないものまでありましたが。


「道具を売る時にはね、遊び方を教えてあげるといいんです。」

へえ。

「たとえばですけど、バイブを使って外で遊ぶとしたらどうします?」

「バイブですか。ありがちですけど、遠隔操作可能なバイブを女の局部にしこんで電車に乗せてスイッチオン、オフしながら女の反応を見て楽しむとか、そんな感じですかね?」

「そうそう、一般的なとこだとそうですよね。」

「他にありますかね?」

「あのね、女の子の上着のポケットに、ただバイブを入れて、
 それをただ鳴らし続けるんです。それこそ、電車の中とかでね。」


・・・・うっわ。


「それ、すごい恥ずかしいですね。」

「でしょう。自分じゃ止められないんですよ。鳴りっぱなしです。」

それはやる方から見たら大変楽しそうですけど、
こういっちゃなんですけど私、余分な羞恥心とか持ち合わせていないんで、
やられるのはごめんです。
でも、責め方としてはシンプルにポイントだけ突いてる感じがとても好感が持てますね。

「まあ、だけどやっぱりSMといえば鞭、みたいな先入観も初めはありますから、
 鞭は初心者には人気がありますよね。」

ああ、そうですよね。
私も好きです。
鞭はビジュアル的にそそるんですよね。

だけど、鞭を振るうのってそこそこ広い空間が必要だし、
打つのもそれこそちゃんと練習しないとうまくは打てないんですよね。
知人は夜の公園でひとり大きな鞭を振るうという変質者的な練習をしていたそうですが、
まあ、そうでもしないとなかなか練習場所もないってことですよね。

「ああ、今はね、体育館とか借りて鞭の練習会とかもあるんですよ。
 僕も見に行ったことがあるんですけど。」


え?

そうなの?


「もしかして、よくある緊縛練習の縄会みたいな感じのヤツですかね?」

「そうそう、まさにあんな感じです。」

「みんなで、サークル活動みたいに和気あいあいと縄で縛る練習とかするんですよね。
 私も参加したことありますけど、基本の後手縛りから吊りができるようになるまでの
 カリキュラムがちゃんとあって、みんな頑張って通って練習して試験とか受けたりするんですよ。
 生徒でも、結構できるようになってくると次は講師になっちゃったりしてね。」

「そう、僕はアレ見て、金儲けうまいなあ、って思いましたよ。
 まあ、鞭の練習会もそんな感じなんですけどね。」

「ああ、金儲けって言えば、たしかにそうですよね。
 だけど、そういう型にはまったカリキュラムをこなしていくことに達成感を感じているような人たちが、
 縄や鞭をうまく使いこなして他人とセックスできるとはとても思えないんですけど。
 だって、こう言っちゃなんですけど、そういう練習会に来ている男って、
 大概セックスがヘタそうなプワっとした男ばっかでしたよ。
 まあ、あんまりよく覚えてないですけど。」

ってゆーか、ああいうとこでちまちま縄の練習を楽しんでる時点で、
ボクはセックスがヘタですって言ってるようなもんだと思うんだよね。
ああいうものって、習うもんじゃないと思うんだ。
まあ、ただオナニーで楽しむだけの縄フェチならいいんだけどさ。

「うん、だから、そういう練習会で出会った人同士が、じゃあ、
 今度二人っきりでプレイしようか、って話になってどこか別の場所であったとするでしょ。
 そういう人にかぎって、二人っきりになったとたん何もできなくなっちゃったりするんですよ。
 それ以来、もう会わなくなっちゃって、みたいな話もよくききますよね。」


ききますね。


結局、ある人々は、
ひとつの場所でなにかを共有しながら仲間や場所をつくるのが好きなんですよね。
みんなで和気あいあいと仲良しごっこがしたいんですよね。
てゆーか、本来、自分の性癖に関することって、
そんな風にみんなと楽しく共有するようなことなんですかね?

そんなに和気あいあいと縄の練習するくらいなら、
みんなで楽しくセックスすればいいのに。

そっちの方が余程ピースフルだと思うんですが。

「だから、最近はもうSM系のハプニングバーとかって珍しく無いですけど、
 そういうとこでも大体、みんな同じような思考を共有できる客たちだけで成り立ってたりするんですよ。
 みんなで、『ボクらってこういう人だよね。』みたいな思考を共有して、仲間意識を持つんです。
 たとえばですけど、『ボクらはSMは好きだけど、スカトロ、あれはナシだよね〜!』
 みたいな思考に同意しあって、みんなで仲良くしてるんです。
 本来はそういう場所って、マイノリティの集う場所だから色んな人種がいて当然だと思うんですけど、
 今はなんていうか、排他的ですよね。
 まあ、ホントのマニアなんて色んなことに興味もって、色んなことやってるから、
 ウンコシッコでフツーにいくらでも遊べるんですけどね。」


「・・・スミマセン。
 私もスカトロはまだ興味ないんです。
 だけど、そう言われると、死ぬまでに一度はやってみたいって気になりますね。」

羞恥心も背徳心も無いこの私が、
どうやってそこらへんを楽しむかは今の段階ではまだ未知ではありますが。


「さすが!興味の幅が広いですね〜!」


いや、なんか興味っていうか、
やったことがないのが悔しいような、変な気持ちになってきました。

まあ、その前に色々やらなきゃいけないことも多いんで、
すぐにはあれですけど。


「今日は、色々お話してくださって、ありがとうございました。
 今度は何かお買い物しにきますね。」

実は、このお店、ウチから結構遠く無いんです。

アマノさんとも実は自宅が近所同士だということも判明しました。


「今度、ウチの近くで見かけたら・・・声、かけますね(笑)」


帰り際、
名刺替わりという名前入りのコンドームをふたつ、
もらって帰ってきました。