2011/10/08

罪無き遊び


「タカちゃん、このグミ、私の中の『ベスト・オブ・グミ』なんだよ。食べてみて。」


よく行く、新宿三丁目のバーのスタッフ、タカちゃんに今日はおやつを差し入れてみた。


「ああ〜〜!これだね、ナツコちゃんが言ってたスゴイ食感のグミってヤツは!楽しみにしてたんだよ!」


実は以前このタカちゃんと「食感」の話をしていた時に、
「食感」を語るなら、このグミを食してもらわないことには始まらない、とうことで、
絶対に今度食べさせてやろう、と心に決めていたんですよ。


このグミ、何がすごいって、「食感」が逸品なんです。


もともと「グミ」自体が食感を楽しむお菓子であるとは思うのですが、
これはもうなんかすごいの。
ただグニグニしてるんじゃなくて、その微妙な弾力というか二層構造になっている外側のやや硬い部分を歯で噛み破ったあとの中の拍子抜けするようなやわらかさとか、
下世話な話で恐縮なんですが、なんかすごいエロティックというか猥褻なんですよ。


なんてゆうか人の粘膜に非常に近い感触なんです。
粘膜というか半粘膜っていうんでしょうか、唇とか局部とかですね。
グミの商品開発してる人って、絶対そういうこと考えて開発してる気がする!
まあ唇とか局部とかまで考えてなくても、「人の感触」くらいは狙ってる気がするなあ。




「これ、すごい!! ・・・本当にえろいね。」


「うん、タカちゃんならわかってくれると思ったんだよ。すごいよね、この猥褻感。
 私、数年前に「グミって食感を楽しむお菓子なんだ!」って気づいて以来、
 本当に色んなグミを食べたけどさ、この明治製菓の「ぷぷるん」と扇雀総本舗の「贅沢シリーズ」
 は群を抜いて猥褻なんだよ。」


「ベストオブエログミ、だね。」


「私としては本当にそんな称号を与えたいくらいだよ。
 というのもさ、このグミ、今はもうどっちもほとんどスーパーとかコンビニとかで売られてないんだよ。
 在庫処分みたいな感じでたまに安売りのお菓子屋さんで見かけるくらいでさ。」




酒を飲むのも作るのも忘れて、しばしグミを食むふたり・・・。




「ねえ、ちょっと ナツコちゃん。」




「なに」




「ちょっと目、つぶって。」




片手に握りしめてたオレンジ色のグミを指先につまみ直しこちらを見るタカちゃん。
・・・を見れば、まあ彼が何をしようとしてるのかは察しがつくのですが、
おとなしく目を閉じるマエダ。


次の瞬間、なんとも生暖かい、
表面はさらりと乾いているのにその内部は明らかにやわらかく発熱して潤沢な水分を含んでいると思われるしっとり丸い物体が、マエダの唇の端に触れた。




物体が、ってゆーか勿論グミが!!




「・・・すごい! なんかホントに唇の感触っぽい!!」




「ね!? ね!! すごいでしょ!!
 なんかコレずっと手の中で握ってたら温まっちゃって、なんだかよりヒトっぽい感触になっちゃったんだよ!!!」




この今年24歳のバースタッフのタカちゃんの新発見にマエダも勿論、大興奮。
カウンターの中と外で二人できゃーきゃーやってたら、


三つとなりの席で飲んでた同じく常連客の女性が呆れたように、一言。


「なんだか・・・罪の無い遊びをしているねえ。」