2011/08/02

Nike in Greece

「ゆうきちゃん」という、妙な絆で結ばれた友人がいます。


この ゆうきちゃん、実はマエダが学生時代に共にSMの「縛り」の授業を受けた仲間なんです。


・・・なんて書くと、ちょっと妖しい感じがしますがコレ、実話です。


私が通ってた美術学校の西洋版画史の岩本先生(男)。
この先生がちょっと変わった先生で、授業中にSMの授業をするんですよ。


たしか最初の授業で生徒同士が二人一組になって、手錠を掛け合うんですね。
その後に簡単なチェック式のSM診断テストみたいなのをして、結果を先生が見るんですが、
他にもそんなにきわどくないSMのビデオを見せられたりとか、いま 思い出してみると
「よく先生、授業であんなことやったな〜〜」とちょっと感心するようなことばかり。


勿論、生徒からは猛烈に非難されて、授業を拒否する生徒もいましたし、
おそらく先生たちや学校の運営側の方でも問題にはなっていたようです。(そりゃ当然ですが・・)


そんな中、なぜか進んでその岩本先生のSM授業を受けていたのが、
この私と、ゆうきちゃん。


主に授業後の時間や授業中に二人だけ別プログラムでSM授業。


主に「縛り」に興味を示したゆうきちゃんは縄の縛り方とか縛られ方を教わっていましたが、
なぜか私はめっぽう縛られ役で、最初の手錠から始まり後ろ手に縄で上半身を着衣の上から縛られて授業中一番後ろの席で放置プレイとか、日によっては足枷とか、縛られてる自分をビデオに撮って見せられたりとか、なんか・・今思い返してみるとすごいなあ。


麻縄での縛りとか緊縛絵師の伊藤晴雨の話とかそういう日本的なSMの授業もあったけど、
基本的にこの先生はボンテージ系だったらしく、
外人の拘束された女の人が馬が繋がれるとこにただ繋がれてぐるぐる歩いてる映像とか
を見させられて、感想を求められたりもしたなあ。


最後の授業の時には、個人的に俺に縛られないかとのお誘いを受けたけど、
そこまでいくと自分の身が自分で守れるかわからなかったので、丁重にお断りしました。


ただ、全然イヤじゃなかったんですよ。


多分私の中に、SMの予備知識が全く無かったということもあるとは思うのですが、
昔から漠然と私の中では「自分の欲求に忠実な人」というのは、信用できるんですね。
この岩本先生、多分翌年解雇されちゃったし学校的にはダメな人なんだけど、
ホントにSMが好き!!って感じの超ストレートな人だったから。
そういう人とどういう形でもかかわれるということは、
意外と当時の私にとっては楽しいことだったのかもしれません。


後々、コレを機に 立派に真性のMの素質が花開いたゆうきちゃん。


私も自分がSかM、どちらに傾倒するか期待したんですけどね〜〜。


その後、数年の月日を経て、自分はSでもMでも無くノーマルだと泣く泣く認めました。
ごめんね岩本先生・・・


今ではこのゆうきちゃんには年に一度くらいしか会う機会がないのですが、
開花してからの彼女はいつも泣いたり笑ったり、
盛りだくさんの人生を最大限謳歌してるように見えます。


自分の欲求に忠実な人というのは、常に切実さと自分に対しての真摯さがあって、
常に崖っぷちに立っているかのような危うさがありながらも、
そこにはいつでも貪欲な生命力が見え隠れするのです。


そういうものがきっと「色気」と呼ばれるんだと、私は思っています。