2012/01/19

追記:私の値段


前回の「私の値段」を書いた直後に、友人たちからメールが届きました。
嬉しいですねえ。いつも読んでくれてて、ありがとう。


そのうちのひとりは、彼女自身に値段まで付けてくれました。


「私の値段は、50万円です。なぜなら、そのくらいの金額が今、欲しいから。」


この、わかりやすさに脱帽です!
ありがとう!あなたのそういうシュールかつ現実的なところが大好きです。


ちなみに、この「私の値段」を書いた翌日、
この「値段」の話を提供してくれたMさんと神田で鍋を食べました。


とびきり辛口と謳っているわりに水みたいな味の日本酒をふたりで呑みながら、
前日に「私の値段」を読んでくれたとMさんが切り出しました。


「それにしても、マエダさん、高いよね・・・・。」


「値段の話ですよね? あたりまえですよ。
 もともと身体を売る、っていう感覚が私の中には無いんですから、
 結局は身体の値段っていうよりは自分の自尊心の値段、ってことになっちゃうんです。
 プライドの値段、って結構考えるの難しいんですよ。
 自分に必要な金額、のラインには収まらないのがプライドだと思うんです。
 プライドって、自分が自分自身であることにこだわって生きる、その糧になり得るものですから。
 その金額をもらうことで、自分の自尊心が満たされて、自信が持てて、ちょっと嬉しくなる、
 そんな金額のことなんですよ。
 それでね、金銭感覚っていうのは、人によって違うでしょ。
 まずは、自分の金銭感覚を知る事が必要になってくるんです。
 そこで、思ったんですけど、その人の金銭感覚を決めるのって大体の場合、その人の収入、ですよね?
 だから、その自分の収入を基準に考えると、
 意外と自分の値段も考えやすいんじゃないかと思ったんですよ。」


「月収とか、年収、ってこと?」


「そう、月収3ヶ月分、とか、10年分の年収、とか。
 そう考えると、意外としっくりくるライン、ってのが見つかったりするんですよ。」


「・・・そう考えると、マエダさんの金額って高いけど、それほど無茶な金額じゃないよね。」


 
・・・ああ〜、言われちゃいましたね。実はそうなんですよ。
今回も誤解を産みたく無いので具体的な金額は明記しませんが、
ワタシ自身は、自分の自尊心を徹底的に敬う一方で、金に換算できないような崇高な女のプライドを
自分の中に抱きたく無い、というのもあるんですよね。
だから、ちょっと無茶すれば買えちゃう金額をあえて自分で決めたわけです。
いざとなったら、女のプライドなんかにこだわっちゃいけないと思っている。
それよりも大事なものが私にはあるから。
私の本当の自尊心のラインは、そこらへんなんです。
これはそれこそ個人個人の価値観でしょうね。




「その収入を基準に、の話で思ったけど。」


鍋で白菜を泳がせながら、Mさんが言いました。


「実際に身体を売る事ができるコたちっていうのはさ、時給換算、なんじゃないのかな。」


「・・・!」


「例えばさ、どっかのお店でバイトして、時給が1000円だとするでしょ。
 その、10倍って考えるわけだよ。」


・・・なるほど。


「ちょっと眼をつぶってれば、普通にバイトする10倍の金額が手に入る。
 だから、やろうと思うんじゃないのかな。」


「・・・そうか〜〜〜。それって、すごく当たり前のことだよね。
 なんでそんなことも気づかなかったんだろう!?私がこんなに考えてるのに!」


「それは、身体を売れる人と売れない人の間には、深い溝があるからだよ。」




たしかに、「時給」という感覚は、身体を売る事を「仕事」と割り切れていないと、
なかなかでてこない発想ですよね。むしろ、仕事と割り切れる人にとっては、当然の感覚かもしれないなあ。


「そうかんがえるとね、今の相場って、大体一回、15,000円くらいじゃないかな。」


「15,000円!・・・時給だったら、高いなあ。」


「そうでしょ、でさ、今、思い出したんだけど、僕の昔からの知り合いでOっているじゃん。」


「ああ、はい、Oさんね。元気ですか?Oさん。」


「うん、あいつと前、話したんだけどさ、例えば最初、そういう店とかで買ってた女の子とさ、
 個人的に仲良くなって連絡とって会う場合はいくら払えばいいのかなって話で。」


「ああ〜〜〜・・・。それは勿論、お店とか仲介するものがないわけだから、
 女のコにとってはお店にいるよりは高くて、男の人にとってはお店に払う金額よりも安く済む、
 そんなラインじゃないんですかね?」


「そうなんだよな、Oも、そう言うんだよ。
 だけどさ、僕的には、なんか例えばだけど今まで2万円払ってたとこを1万5千円、とかって
 なんか申し訳ないとか思っちゃってさ・・・。
 僕、もと関西人だし、モノだったらしつこく値切れるんだけど、
 人相手だとどうにも申し訳なくてできないんだよね。マエダさん、どう思う?」




・・・わたし、個人的に値切られるのが大嫌いなんで、
できればMさんにはそのまま5千円をケチらずに生きていって欲しいと切に願います。




「ちなみにMさん、今日、勝手に店、予約してくれっていうから、
 私が勝手に料理まで予約しちゃいましたけど。」


「うん。」


「このしゃぶしゃぶのコースで高い肉と安い肉がありますけどどうしますか、って
 言われたから、高い肉でお願いしますって勝手に注文しちゃいました。」


「・・・人の金だと思いやがって。」


アハハ
いつもごちそうさまです、Mさん。


男の人にどれだけお金をかけてもらえるかって、
意外と女にとっては大事な事なんですよ。
しあわせなことなんですよ。


そう考えると、意外と女の人って自分をある意味、一種の商品として認識している
部分も無くは無いと思えなくも無い・・・。




まあ いいや。




そんなかんじで。