2016/09/08

初恋

 



恋した男に振られてしまった。


サロメはそのとき14歳。

「望みをかなえてくれるというなら、その男の首がほしい。」

裸身の踊りと引き換えに、ユダヤの王である義父から受け取った。
 
その男の、首。
 

 
もう、意思も鼓動もない
ただのモノにすぎない、男の首。
 
だけど 生きたあの男に認められることと、
男の生き死にを支配することは、

実はそんなに違いはないのよ。
 
どちらもわたしの、
一部になってほしいということ。


あなたは、
そんなの愛じゃないって言うかもしれないけど
たしかにそれは、あなたが示すような尊い愛とは
違うものなのかもしれないけど、
 


だけど 恋っていうのはね、
 
相手を大切にするってことじゃなくて
あなたの幸せを願うってものでもなくて
 
ただ、自分を愛するための感情なの。
 
だから私は美しいあなたを所有して、自分の思うようにしたいと欲するし
わたしのためだけにあなたがいると、たとえ錯覚であっても感じていたい。
 

欲望が満たされたときに自分は自分を認めるし、
獲得したという体感は、根深く自尊心を支えてる。


それはとても自然な肉体の欲望。
 


もちろんだれでもよかったわけじゃない、
それがあなたであったから、
それは恋になりえたのよ。
 
 

 
 
自分ひとりの殻を破り肥大する自我。

自分以外の人間を経て得る、初めての自己肯定の恍惚。



自己愛の純粋。
 
 

photo by maeda natsuko