2012/11/19

夢の中


怖い夢をみた。


他人の夢の話ほど聞いていて退屈なものは無いと知りつつ、
なんとなく人に聞いて欲しくて
男友達のケイちゃんに私が見たその怖い夢の話をした。

「簡単に言えばさ、単に妹が自殺する夢なんだよ。
 だけど夢の中の妹は現実の妹とは違う感じだったから、
 多分妹という設定の別の人間なんだと思うんだけど。
 その妹がさ、マンションの十階くらいの高さから飛び降りるんだよね。
 飛び降りて、地面に叩き付けられて手脚や背骨は有り得ない方向に折れ曲がってるし
 頭はひしゃげてるしで血だらけの瀕死の状態なわけだけど。
 そんな瀕死の状態にも関わらず彼女は血だらけで近くの電車の線路まで
 肘をつかって這っていって、線路のうえにごろんと仰向けで寝っころがるんだよ。
 飛び降りて自殺を図った上に、仕上げに電車にまで跳ねられようって感じよ。
 電車が近づいてきてあと数秒で電車に敷かれてバラバラになっちゃうぞって時に、
 彼女は携帯電話で自分の母親に電話をかけるの。
 「今から、電車に敷かれて死にますから。」って。」

夢の中で、私はその状況をを遠くから眺めているわけなのだけど
電話を受けて駆けつけた母親が電車に敷かれてバラバラになった娘の身体と対面する様を
「あ〜あ・・・。可哀想になあ」とやけに俯瞰して見ていた。

夢は精神の健康状態を表すと常々思っているので
強烈な印象を残す夢を見た時は一応気にかけているのだけれど

今回の夢は本当に、いやーな感じだったなあ。

「妹っていうか、その自殺したのは間違いなくナツコだろ。
 もうひとりのおまえってゆうか、
 おまえが普段意識してない自分の願望を夢の中で妹っていう存在に託してるんだよ。」


うん。いやそれはなんとなくわかってはいるけどね・・・。


いやな夢っていうのは何かこう自分を振り返らなきゃいけないような
変な課題を提示されてるような気分になっちゃって、嫌なもんだね。

私は人が死ぬ夢をよく見る。

だけど自分が死ぬ夢は多分もっとたくさん見ている。

だけど自分が死ぬ夢ってゆーのは
自分が生まれ変わりたいという願望の現れというから
むしろそんな夢をみても嫌な気分になることはあまり無いのだけれど
今回の夢はちょっとイヤだ。

多分、悪意のようなものが含まれているからだと思う。

自分が死にたくて死ぬのは別にいいんだ。
だけど、それを事前に母親に伝えるという悪意が私の気分を悪くする。

夢の中の自殺した彼女は、明らかに悪意を持って母親に自殺を告げていた。
電車にひき殺されてバラバラになった自分を見せてやりたいという、悪意。

自分が死にたい理由も原因も、あるとしたら自分の中にしか、無い。
だけど死ぬ直前に母親に自殺予告をするという行為は、
その理由や原因に母親を巻き込む行為だ。
それを母親や他人のせいにするのは愚かな意味での甘えだと思う。
死ぬなら一人で自分を敷く電車を待てばいい。
呪いをかけるように、母に自殺予告なんかせずに。

他人に呪いをかける弱さが自分にあることを知る。
潜在意識が支配する夢の領域だからこそ、普段は知らない自分の一面を見る。

夢というのはとても個人的な感覚で形づくられているから
他人と夢の話を共有するのは難しい。
それにも関わらず私の楽しくも無い夢の話をちゃんと聞いてくれる、
ケイちゃんの存在が有り難かった。

まあ、他人の楽しい夢の話の方が、怖い夢の話よりもつまんないししらけるんだけどね。
夢の話っていうのはそんなもんなんだよな。

「ちなみに私の今朝の夢なんだけど。」

気分を変えるために、私が今朝みた楽しい夢の話をすることにした。

「朝日が差し込む明るい部屋のベッドの上で
 誰かわかんないけど男とふたりで裸でゴロ寝してんの。
 で、私は男の足側に顔をむけて寝っころがりながら、男の足の親指を食べてんだよね。
 歯で肉を齧りながら食べてるの。
 爪の部分は硬くて食べられないんだけど、肉の部分はむしゃむしゃ食べてた。
 味はよくわかんないんだけど。
 「痛くない?」ってまだ夢うつつの寝てる男に訊いたら、
 男は軽い感じで「ん?べつに〜。」って答えてた。
 なかなか悪く無い夢だったよ。」

ケイちゃんは、間髪入れずに私の顔を見て言った。

「おまえそれ、フェラチオの夢だろ。」




・・・・



・・・う〜〜ん。


まあ、そうともいうかもね。

私が男の指を好きなのは、多分そういう意味なんだろう。

夢なんて、所詮そんなもんなんだよな。