2012/03/21

こぶた


ちょっと生意気な子供だったので
小さい頃からキャラクターものの服やモノがキライでした。


当時流行っていたアニメやディズニーやサンリオのキャラクターも
それ自体は好きでも、身につけるのは絶対イヤでしたね。
今でも、キャラクターとまではいかなくても、例えばネコとか鳥とかの動物のモチーフとか
そういうのは身につけるのはなんか苦手です。かわいいんですけどね。
着るのはいやなんです。


幾何学模様とか文様みたいに抽象的なデザインはいいんですけど、
具体的な例えば鳥のシルエットがプリントされてる服とか、なんか恥ずかしいんですよ。


鳥のモチーフ自体は大好きなんですけどね。
一目見て「鳥だ」って認識できないくらい抽象的にデザインされてたらいいなと思うんですが、
一目見て、あ、鳥だ、って思っちゃうくらいのものだとなんかイヤなんですよね。


自分よりも着ている服が先に主張しちゃう気がするんです。
服って、単純に自分が楽しめればいいというのも一理ありますが、
私としては自分が他人から見て綺麗に見えなければ意味が無いようにも思うんですよね。
そう考えると、具体的なモチーフって身につけるものとしては難しくないですか。
大体の場合、具体的な魅力的なモチーフは自分よりも目立っちゃうと思うんですよ。


小さい頃のキャラクターものって、その最たるものな気がするんです。
着ている本人だけが楽しい、みたいな。
別に、キャラクターはかわいいけど、着ている本人がかわいく見えるわけじゃない、みたいな。
だからまあ、子供はそれでいいと思うんですが。


大人になってもその感覚だとどうなんですかね。


先日、引っ越しを控えた友人の家に掃除と片付けを手伝いに行ってきました。


寒空の続く三月、窓を開けっ放しでの作業の合間に友人がハイ、と靴下を貸してくれました。


「足が冷えないように。」と。




ありがとう。


・・・小学生の頃からのマエダの美的ポリシーを嘲笑うがごとく、
つぶらな瞳のコブタ二匹が足元から私を見上げます。




なんたる屈辱・・・。


こんな靴下、初めて履きましたよ。


しかも、コブタ。


シマウマ柄の、コブタ!!


しかも、その日私が着ていたモノトーンの幾何学模様ワンピースにしっくり似合ってしまう事が、
さらなる屈辱!




「なっちゃん、その靴下すごく似合うよ!! あげようか?」




履いた直後は「いらねーよ!!」とか思っていたのですが、
数時間、履いていたらなんだか急に欲しくなってきてしまいました。


作業中にふと足元に眼をやると、
この二匹のブタと眼が合っちゃうんですよ。


「げんき?」


って 言われてる気がする。


無垢さは愚かさと同義語だと信じているこの私が、
このコブタの瞳に漂う純粋の色に心を一瞬、癒されているという、事実。




なんだか ひとりでいるのに


・・・ひとりじゃない気分。




え?!




なんだこれ!!




これがキャラクターの威力?!




だからいやなんですよ。
眼と鼻と口があるだけで感情移入しちゃう自分のこの無垢さ。
免疫ができてない分、簡単に騙されちゃうんです。


足元の温かさも相まって、
その日の作業を終える頃には別れるのが惜しいほどにはスキになっちゃってました。