2012/02/23

そこが好き


何かのオタクやマニアやフェチの人の話を聞くのが好きです。


基本的に「好きなもの」に関する話はその人自身が見えるので聞いてて楽しいのですが、
オタクやマニアやフェチに関しては更に深くその人の内面まで突っ込める感じがしていいですね。


先日、友人の糸川さんに「眼鏡フェチ」について語って頂きました。
基本的に「フェチ」っていうのは性的趣向の一種ですから、
糸川さんは女性なので、「眼鏡」あるいは「眼鏡をかけた男性」が好き、ってことですよね。


彼女自ら「フェチ」と自称するからには
あえてここに「フェチ」というものについても説明させて頂きますが、
「フェチ」とは単に「好き」ということでは、決してありません。
この点において、オタクやマニアと混同してはいけません。


「フェチ」とは、単純な「好き」とは一線を画して「執着」や「性的興奮」に近いものです。
また、その執着の対象がモノや衣服の場合は、その服装をさせられるに至ったシチュエーションや
ロールプレイングに対する個人的な執着のことをも差します。


ちなみに私は男の人だと指と一部の体毛が好きですが、
これはあくまで「好き」の範疇に属するものです。
「フェチ」に関しては私は明らかに「民族衣装フェチ」ですね。
昔から何となく気づいていたのですが、去年バリに行って確信を得ました。




「糸川さん、今日の眼鏡はなんか糸川さんの顔にぴったりですよね。」


「ああ、これですね。そんなにすごくいい眼鏡ってわけじゃないんですけど」


「でもなんか、ぴったりですよ。違和感が無いっていうか。さすが眼鏡フェチの糸川さんですね。」


その日、糸川さんは円みのある茶色のフチの眼鏡をかけていましたが、
その眼鏡が驚くほど違和感無く糸川さんの顔上にハマっていたので、
図らずとも私、マエダから眼鏡談義の口火を切ることとなりました。


「実はこれはですね、私のジャスト眼鏡、なんですよ。」


自慢げに微笑む糸川さん。


「いい眼鏡にはですね、ジャスト眼鏡とベスト眼鏡というものがあるんです。
 今の私がしてるのは、私のジャスト眼鏡なんです。」


「・・・ジャスト眼鏡・・・というと」


「ジャスト眼鏡っていうのはですね、その人の顔にぴったり違和感無くハマる眼鏡のことです。
 ちなみにベスト眼鏡というのは、着けることでその人の顔がより良く見える眼鏡の事をいうんですね。
 つまり着けていない時よりも、着けてる時の方が綺麗にまたは格好良く見える眼鏡ってことです。」




・・・なるほど。
てことは ベスト眼鏡ははずした時に若干ガッカリ感が有るかもしれませんね。




「そうですねえ。でもベスト眼鏡にはいつでもすぐ出会えるわけじゃありませんから。
 ベスト眼鏡に関しては出会い、ってもんがあるんですよ。
 まあ、ウチの旦那さんに関しては、眼鏡を買いに行って、
 一番最初に自分のベスト眼鏡を選んだすごい人ではあるんですけどね。」


糸川さんによると、糸川さんの旦那さんは糸川さん同伴で眼鏡を買いに行ったにも関わらず、
眼鏡フェチの糸川さんが選ぶに及ばず、自分で店にあった無数の眼鏡の中から一発で
自分のベスト眼鏡を選んだ強者だそうです。


「あの時は嬉しい反面、悔しかったですよ。私の眼鏡を選ぶという楽しみを。」


「あはは!そうですよね。やっぱり自分の旦那さんの眼鏡ですからね。
 ベスト眼鏡をかけた旦那さんの顔なんて見たらもう嬉しくてたまんないでしょう。」


「はい、そりゃもうあの眼鏡を買った直後はしばらく旦那の顔を見てばっかりでしたよ。
 見すぎて旦那さんも嫌がってましたからね。
 でも、仕方ないんですよ。ベスト眼鏡なんて選んじゃったんですから。
 私があんまりにも旦那さんの顔を見すぎたせいで、
 終いには旦那さんが私の目線を避けるようになってきちゃったりしてね〜。
 ケチケチしないでみせろよ!とか言ってそれでも見てましたねえ、わたし。」


 「はは!でもやっぱり糸川さんみたいに眼鏡フェチの人は、
 そんな風に眼鏡が好きな男性だと一緒にいて楽しいわけですよね。」


「あ〜〜、いえ、それはまた違うんですよ。
 ウチの旦那さんは眼鏡を掛けてるけど、別に眼鏡が好きなわけじゃないんです。
 私、眼鏡掛けてる男性は好きですけど、眼鏡好きの男性は全然好きじゃないんです!
 眼鏡好きの男性なんて、も〜〜!めんどくさくって!!イヤです。
 だって「あっ 俺もさ〜こういう眼鏡が好きで」とか眼鏡について語り合おうとしてきたりするんですよ。
 めんどくさいですよ。別にお前と眼鏡について語り合いたいわけじゃないんだよ!って感じですよ。
 私は別に眼鏡について男性とわかち合いたいわけじゃないんです。
 ただ、眼鏡の男性を鑑賞していたいだけなんです。
 しかも、眼鏡好きな人の眼鏡とか、オシャレに眼鏡を掛けている人の眼鏡じゃなくて、
 「仕方なくかけている眼鏡」っていうのが、一番、いいんですよ。」




・・・仕方なく、掛けている眼鏡。
だんだん話がフェチっぽくなってきました。




「オシャレ眼鏡とかじゃなくて、必要だから仕方なく掛けている眼鏡、ってのが、いいんです。
 下を向いてる時に眼鏡が落ちてきちゃって、めんどくさそうに直してるとことか。」




へえ?


・・・それってなんですかね。


別に眼鏡が好きじゃないけど必要にかられてかける、そんな眼鏡が好きで、
眼鏡好きのオシャレ眼鏡が別に好きじゃないというのは、
なんですかね?
いわゆるチマチマしたオシャレ男がキライという女性はたくさんおりますが、
それってオシャレに気を取られる男というのはモノに支配されてる感があって不自由そうでかっこわるい、
というマエダのそれが嫌いな理由と同じものでしょうか?


てゆうかね〜、基本的にフェチの人って、好きな理由とかなんでもいいんですよね。
何でもいいっていうか、すごく個人的なんですよね。
以前、ハイヒールフェチの男性に話を聞いた事があるんですよ。
ハイヒールが好きな理由って、突き詰めるとなんか深い理由が有るの?って聞いたら、
「別に無いよ」って、その男は言ってましたね。


「おまえ、フェチっていうのはな、
 例えばハイヒールが好きなヤツはそれに踏みつけられたいM願望が有るんじゃないかとか、
 そんなに深いもんじゃないんだよ。
 単純に、例えば小学生とか中学生とか性的な興奮ってものを知り始めた時期に、
 たまたま興奮してる時に眼についた女がハイヒール履いてたとするだろ、
 そうするとその時の興奮が、大人になってからも、ハイヒールを見ると蘇るようになるんだよ。
 ただ、それだけのことなんだよ。
 単純なことなんだ。」


こんなふうに言ってましたね。
まあ、フェチの特質として「個人的」っていうのがまずありますから、
勿論これはこの男のフェティシズム論なんでしょうけども。
 


「ちなみに糸川さん、私も自分のベスト眼鏡が欲しいのですが。」


「はあ。マエダさんのですか。」


「私にはどんな眼鏡が似合うのでしょうか。」


「・・・う〜ん。そうですねえ。似合う眼鏡といっても、
 どういう方向に行きたいのかによっても違いますからねえ。」


「はあ。」


「例えば、オシャレな方に行きたいのか、それとも意外性の方向に行きたいのか、とか。」


「オシャレで意外性のあるのがいいです。」


「どうでしょう。なんかマエダさんには赤いフレームのやつとか掛けてみたい気も。」


「来週、一緒に 眼鏡選び、付き合ってくれませんか、糸川さん。」


「・・・勿論わたしでよければお付き合いしますが、マエダさんは顔がハッキリしているので、
さっき私が言ったベスト眼鏡というのは当てはまらないかもしれませんが。」




じゃあ、ジャストのほうでもいいです。


自分の眼鏡の可能性を知りたいんですよ。


すっごい楽しみにしてるんで、
よろしくおねがいしますね、糸川さん。





ここ数年、愛用の眼鏡☝