2011/05/04

心はあなたのもとに


不意に撮った写真に、思いがけなく「鳥」が写ってると
なんか嬉しくなります。


昨日 一日、村上龍 の新刊、「心はあなたのもとに」を読んでました。


なんかタイトルが「村上龍っぽくないな〜」と思って
興味を引かれて、珍しく文庫になる前に購入してみました。


私、村上龍だと「エクスタシー」「メランコリア」「タナトス」「イビサ」
あと「音楽の海岸」あたりの女の人を中心に話が展開していくヤツはもう
死んでも抱えて持って行きたいくらい大好きで、
逆に「愛と幻想のファシズム」「コインロッカーベイビーズ」
・・・あたりはなんかちょっと苦手です。読み切れてません。なんか男くさくて(笑)


だから、今回の「心はあなたのもとに」は読めそうな気がしたんですが


結果、読めたんですが


なんか、


「こんなに『やわらかい』村上龍って、アリ??」


みたいな、不思議な感じがしました。


一般的に、人って 年を重ねるごとにトゲが取れて丸くなっていくような
気はするんですけど、なんか、村上龍も、やっぱり歳とったな〜〜みたいな(笑)


今までの作品のような、
今、その瞬間に目の前にある肉とか果物とか女とかを
撫でて愛でて舐め回してるような
そんな生なましさが全く無かった・・・


「肉」感が無いって感じですかね。
例えるなら、この本の表紙のような午後の黄色くなった陽に照らされた
「今」ではない「いつか」の小さな公園のベンチ、みたいな、重さの無い感じ。


なんか、そういう質量を伴った生なましいところはもう、越えちゃったんですかね。


「心」なんて言葉、村上龍が使うってこと自体がちょっとびっくり。


この小説のテーマは


「どんなに大切な人でも、ずっといっしょにいることはできない」。


だって、まずは自分が満足に仕事して生活して生きているってことが最優先事項だから
たとえ自分の彼女が持病で死にそうになって実際死んじゃってたとしても
自分という人間の生活や仕事を犠牲にしてまでそばにいることはできない。
それは、愛していない、ということではない。
他者との関与は、「自分」がいなければ成立しない。




なんかここらへんはいかにも村上節なんですが
さらにそのあとに


だから、「心はあなたのもとに」。




・・って続くあたりが なんか新鮮。


正直、元気になる小説でもないし村上龍独特の綺麗さもないし
もう一度読みたいとは思わないんですが
なんだか不思議と今までに無い、あいまいな「やわらかさ」が残るのは確か。


だけど、あくまで「あいまいな」なんです。


そこが、好き。