2011/05/02

いっしん


だって 「利休にたずねよ」が 超 おもしろかったから!!


今度は同じく 山本兼一 著 の「いっしん虎徹」を一気読みしました。


「いっしん虎徹」は刀鍛冶(刀つくる人)の話ですが
山本兼一って、こういう「職人としての誇りのために働く男」の話ばっか書いてますよね。


ていうか きっと 山本兼一自体がそういう男なんでしょうね。


なんか、「仕事にしか意識がいかなくて周りの女を悲しませる男」
・・の話に読めなくもない気がするんですが、
「利休にたずねよ」ではそこらへんの自覚がでてきたのか、
ある程度まともに女の人の葛藤とかを描写しだして、
利休自体もちょっと屈折した感じに描かれていて、
意外とどの登場人物にも感情移入して読めた気がするのですが、


この「いっしん虎徹」の女の人の描き方の浅さと言ったら!(笑)


もうまるで人格が無いかのように、浅い!!
浅すぎて感情移入 全く できない・・。


そんな、男にとって都合がいい女いるか!って感じです。
一歩譲っていたとしても、こんなに薄っぺらい女じゃないと思うんですよ。
こんな「鉄」一本の普通じゃない男を支えてついていこうってんだから、
それこそものすごい一本筋が通った強い女性だと思うんですよ。


もしくは 病的に芯が弱くて男に依存することで自分の自我が保たれてるような
共倒れができるタイプの困った女・・


どっちにしたって、普通の女じゃないんだから、
もうちょっと深く描きこめると思うんですが・・


ていうか、女を描こうという気がまるで無いんでしょうねえ。


もう本当に山本兼一自身が、周りにいる女の人に興味が無いとしか思えない。(笑)
そう まるで 彼の小説にでてくる仕事にしか興味が無い男たちみたいに。


なんか笑っちゃいましたよ。
虎徹と妻、ゆき のやり取りを読むたびに・・・


そして、そんな超浅い「女性の描写」とのコントラストを楽しむべくして
あるのは、やっぱりこの男の「仕事」に対する描写の鮮やかさ。


なんか ちょっと 圧倒されちゃうくらいすごい。


もう ページ折っちゃうくらいかっこいい。


ちょっと引用。




『鍛冶は、天地の玄妙にたずさわる仕事である。


 木から火を生む。土から鉄を取り出す。火で鉄を沸かし、鍛える。
 水に浸けて硬く焼き締める。


 木、火、土、金、水(もくかどごんすい)の五行が互いに相生、相克しあって、
 はじめて強く美しい刀が鍛えられるのだ。


 その変化の作用は天地の摂理にほかならない。


 鍛冶が胸を張ってはおこがましい。


 鍛冶は、天地の玄妙な摂理を借り、それを一振りの刀に凝縮させるにすぎない。


 人の力など、乾坤の悠久に比して微々たるもの。


 しかし、そう思った刹那、いつでも興里の腹の底から強い意志の力が怒濤となって
 湧き上がってくる。


 天地に屹立する刀をつくるのは微力な鍛冶だ。


 天地の無窮に、とまどうばかりが人ではない。


 そこにしっかり足を踏ん張って立つのもまた人である。


 人は天にむかって咆哮することができる。大地に爪痕を残すことができる。
 大地から採り出した鋼がわずかにひと塊あれば、鍛冶は、刀が造れる。


 その刀は、千年を経てもなお、手にする人のこころに、破邪顕正の勇気と永劫不変の
 慈悲を芽生えさせる。』










・・・ね!?


すごいですよね!?


なんかもう、女性の描き方がいかに浅くても、
そんなことどうでもよくなっちゃいますよね。


しょーがないよ!こんなにすごい男なんだから。ハハ。


しかし山本兼一の小説は覚悟決めて一気読みしないと
どうにも途中で挫折しますねえ。
力が入ってる文章だから、読むのにもちょっと気合いがいるんですかねえ・・。


恋愛とかにつまずいて、


「イイ男って・・・一体どんな男なんだ!!?」


みたいな 疑問が湧いた時に、おすすめの一冊です。


余計、疑問が深まるかもしれませんが。